大和書房は、長谷川康夫氏の著作『つかこうへい正伝Ⅱ 1982-1987 知られざる日々』を、1月18日(木)に発売した。
同書は、今まであまり顧みられなかった、つかこうへい氏の空白の時を生き生きと描き出す決定版評伝として注目される。
つか氏空白の時代とされる80年代を描き出す
『つかこうへい正伝Ⅱ 1982-1987 知られざる日々』は、劇作家・演出家のつかこうへい氏の知られざる時代を描き出す、決定版評伝。
つか氏は「熱海殺人事件」「蒲田行進曲」「いつも心に太陽を」などで知られ、1970年~1980年代に「つかブーム」を巻き起こした劇作家としてあまりにも有名だ。
著者の長谷川康夫氏は、北海道札幌市生まれの演出家で脚本家。早稲田大学入学後、劇団「暫」で、つか氏と出会い、「いつも心に太陽を」「広島に原爆を落とす日」「初級革命講座飛龍伝」「蒲田行進曲」など、一連のつか作品に出演した実績を持つ。
そして、「劇団つかこうへい事務所」解散後は、演出家・脚本家として舞台・映画作品を発表。2005年の「亡国のイージス」で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。近年の作品には、監督を務めた2018年の「あの頃、君を追いかけた」、脚本を担当した2019年の「空母いぶき」などで知られる。
この度刊行された『つかこうへい正伝Ⅱ 1982-1987 知られざる日々』は、つか氏の若き日からブーム頂点での劇団解散までを徹底した取材で描いた『つかこうへい正伝 1968-1982』の続編にあたる。同書は、講談社ノンフィクション賞・新田次郎文学賞・AICT 演劇評論賞を受賞した。
そして、『つかこうへい正伝Ⅱ 1982-1987 知られざる日々』が描き出すのは、つか氏の80年代。82年の劇団解散から、89年の演劇活動再開までの期間は、これまであまり顧みられることがなく、いわば空白の期間となっていた。
この期間、最もつか氏と行動をともにしていた著者が、80年代のつか氏の姿、映像作品にかける日々、大竹しのぶ氏との口立て稽古、今は亡き沖雅也氏との関係、祖国・韓国での「熱海殺人事件」公演など、初めて明らかとなる事実を活き活きと描き出す。
同書の魅力は長谷川氏が描き出す、つか氏の実像だけではない。特別付録として、「つか芝居」を彩った俳優の風間杜夫氏、平田満氏とつか氏の演出・エピソードを語り尽くす座談会、つか氏の愛娘・愛原実花氏との対談。さらに巻頭には、未公開写真を中心とする写真集を収録する。
まさに、つかこうへい氏のファンにとって、必読の決定版評伝と言っても差し支えないだろう。
つかこうへい正伝Ⅱ 1982-1987 知られざる日々
著者:長谷川康夫
発売日:販売中
判型:四六変
頁数:408ページ
定価:3,300円(税込)
発行元:大和書房
(高野晃彰)