一方、なかには使用を快諾するミュージシャンもいる。
カントリーシンガーのリー・グリーンウッドは、2017年の大統領就任式で代表曲「ゴッド・ブレス・ザ・USA」を熱唱。選挙集会ではトランプ氏の登場曲として、定番になっている。
オバマ氏の就任式でパフォーマンスを行ったキッド・ロックも、トランプ氏の親密なサポーターとして知られている。2008年のヒット曲「オール・サマー・ロング」は、トランプ集会を盛り上げる定番ソングとなっている。トランプ氏からの信頼も厚く、2022年放送のタッカー・カールソンのインタビューで、ISISと北朝鮮の対応をめぐって、トランプ氏からアドバイスを求められたことがあると明かしている。
ピッチフォークによると、選挙キャンペーンのような組織は、レストランやバーなどと同様に「米国作曲家作詞家出版者協会(ASCAP )」や「放送音楽協会(BMI)」といった権利管理団体を通じて演奏ライセンスを取得している。契約に準じている限り著作権侵害の申し立てから保護される。
ならばミュージシャンが止めさせる手立てがないのかというと、そうではない。政治組織との契約には、アーティストが使用に反対した場合、特定の楽曲を除外できる条項が含まれているという。また、ASCAPによると、楽曲の使用に際して、アーティストが候補者を支持していると誤解を与える可能性が高い場合、候補者は連邦商標法に基づいて提訴される危険があるとしている。