走り

回転のスムーズさを優先したエンジンとコンパクトな車体で扱いやすい

まずは高速道路での走行から。5段階ある走行モードの中で最も汎用性のあるスタンダードモードでの第一印象は、270度クランクらしいドロドロとした感触は少し少なめかもしれない。それよりもエンジン回転のスムーズさや吹け上がりに重きを置いているように感じられる。今度はスポーツモードに変更してスロットルを大きめに開けてみるが、スタンダードモードと比較して突出したパワーを感じられるというワケではないようだ。さすがにレインモードの場合は少々パワーが押さえ込まれている感じはするが、それでも各モードでの変化は若干抑えめにセッティングされているように思える。そして、車体のサイズはかなりコンパクトな印象が強い。参考になるかどうかは難しいが、身長179cmのライダーが乗車した場合は両足がベッタリと付き、膝も曲げられるほどの余裕があった。おそらく170cmほどの身長があるライダーならば、苦労せずに取り回すことができるのではないだろうか。

ぬかるんだ路面でもしっかりとグリップするグラベルモードは秀逸!

高速道路を降りた後は、ワインディングを流してみる。あらゆる路面へと対応すべく21インチのフロントタイヤを装着しているが、ロードスポーツの17インチや19インチと大差ないフィーリングで、ハンドリングが重く感じたり、腕で押さえつけるようにコントロールしたりする必要は全くない。安定していながらも臆することなくスポーティな走行を堪能できる。最後は林道を走るために、グラベルモードにスイッチ。事前説明ではこのXL750トランザルプのグラベルモードは、安全に林道を走行するためにタイヤのグリップをより高める方向でのセッティングと聞いている。そして今回は知る林道は完全な土、しかも前日に雨が降ったこともあり、ぬかるんでいる部分も多く見られた。こういった路面状況を走るのは決して得意ではないが、タイヤがしっかりとグリップして車両を前へと押し出してくれる。これは電子制御で必要な分のトラクションを掛けてくれるグラベルモードが素晴らしいのはもちろんだが、標準装備で履いているメッツラーのカルーストリートというタイヤの性能も大きく寄与しているはずだ。

総括

ビッグアドベンチャーで林道を駆け抜けてみたい。しかしながら経験も浅く、足付きにも不安がある…そんな林道ビギナーには、このXL750トランザルプのグラベルモードはぜひともおすすめしたい。もちろん高速道路での快適性やワインディングでのスポーティな走りも高いレベルにあるので、ベテランライダーでも十分納得できる1台のはずだ。

※当記事は動画「MOTO BASIC」協力のもと、モトメガネが編集構成したものです。