野々村芳和チェアマン 写真:Getty Images

 Jリーグの野々村芳和チェアマンは昨年12月19日、2025シーズン終了後に0.5シーズンの特別大会を設けた上で、2026/27シーズンから秋春制に移行すると発表。アルビレックス新潟など降雪地域をホームとするクラブから慎重な意見が上がった中での決定に、日本代表OBの前園真聖氏が自身の見解を述べている。

 秋春制移行を巡っては、8月開幕という日程に対して「8月は酷暑だけど…」「酷暑下でのスポーツが危険という問題が解決されない」などと、厳しい声が噴出。Jリーグは降雪地域のクラブに対して、施設整備の支援などを目的に100億円規模の財源を用意するというが、それでも冬季の試合開催による不安が叫ばれている。

 またシント=トロイデンVV所属の元日本代表FW岡崎慎司は、X(旧ツイッター)で「個人的なシーズン移行に対しての懸念はリーグ内の格差です」と指摘。「ヨーロッパのように強さを求める事から生じる格差をどうやって作らないようにするか、日本はまだそこまで格差がなくて、他の国とは違う価値がJリーグにはあるように思う。ヨーロッパと戦うというより、違いを作り、共存していくイメージ」と持論を述べている

 この秋春制移行を巡る議論が活発である中、前園氏は今月17日に自身のYouTubeチャンネル『おじさんだけど、遊んでもいいですか?』を更新。タレントのJOYさんとの対談で、秋春制移行の概要を聞かれると、冬季の観戦環境をはじめ降雪地域での課題に触れつつも、「雪のこともあるけど、Jリーグの中では夏のパフォーマンスがすごく落ちていることが問題で、そのようなデータがあったみたい。強いチームが急失速するというようなこともあって、少し(リーグ戦の開催時期を)ずらすとは言っている。ただ8月も暑い」と酷暑対策を強調している。

 また同氏は「(秋春制移行に)みんなが納得するのは難しい。ただ全員が同じ方向に向かうのが必要」とした上で、秋春制移行のメリットを説明。「時期が一緒なので、ヨーロッパの選手が日本に来やすくなる。日本人選手もヨーロッパに移籍しやすい。大きな枠組みで言うと、Jリーグは代表が繋がるわけだから、欧州諸国とマッチメイクもしやすくなる」と、日本人選手のステップアップや大物選手の参戦によるJリーグのレベルアップが見込まれる側面を説明した。

 この前園氏の解説を受けて、JOYさんは「問題はあるけど、どこかのタイミングではやらないといけなかったこと」と理解を示した上で、「全部がはまるということではないし、それを言っていたら何もチャレンジできなくなる。決まったからには、みんながその方向に思いを乗せて、結果サッカー界が盛り上がればいい」と前向きなコメントを残した。