健康食材として注目される海藻ですが、中にはごく一般的に食べられているものでありながら、ときに人体に害をもたらしてしまうものがあります。

(アイキャッチ画像提供:茸本朗)

手軽に採取できて美味しい海藻『オゴノリ』 女性が生食すると危険なワケとは?

冬は海藻が旬のシーズン

寒くなると美味しくなる海産物はたくさんありますが、それらはすべて冬以外にも(美味しくないとはいえ)存在はしています。しかし「そもそも寒い時期しか存在しない」海産物というものもあります。

手軽に採取できて美味しい海藻『オゴノリ』 女性が生食すると危険なワケとは?生ワカメ(提供:PhotoAC)

その代表が「海藻」。海藻類の多くは冬になると海中に現れ、そのまま春まで海中に残り、やがてちぎれて流れたり、他の生き物に食べられたりしてなくなってしまいます。暖かい時期は胞子の形で海中を漂っており、成長して姿が見えるようになるのが寒い時期なのです。

そういうわけで、海藻の旬は必然的に冬~春になります。もちろん乾燥させたものが一年を通して流通してはいますが、やはり新鮮な海藻の味は乾燥品とはまた別のものです。

刺身のツマに欠かせない「オゴノリ」

さて、そんな「新鮮なものが美味しい海藻」のひとつにオゴノリがあります。

オゴノリという名前を聞いてすぐにピンとくる人は少ないかもしれませんが「刺身のツマに添えられているきれいな緑色の毛みたいな海藻」と聞いたら連想できる人はきっと多いでしょう。

手軽に採取できて美味しい海藻『オゴノリ』 女性が生食すると危険なワケとは?オゴノリ(提供:茸本朗)

ぱっと見はもずくのようにも見えますが、オゴノリはもずくのようなぬめりはなく、ジャキジャキとした食感が身上です。そのまま食べるだけではなく、テングサ類と同様に寒天原料に加工されるため、世界中で多くの需要がある海藻であり、盛んに養殖もされています。

特に女性は生食厳禁

そんなオゴノリですが、実は身近な海でも普通に見かける一般的な海藻です。水質汚染にも強いのか、東京湾奥でもしばしば見かけます。漁業権がない場所にも多く、気軽に採取することができるのですが、しかしそういったものを食用にする際には大きな注意が必要です。

実は我が国ではこれまでに、自分で採取したオゴノリを食べて死亡するという事故が数度にわたり発生しています。その原因はオゴノリそのものではなく、表面に付着した植物プランクトンが産出した有毒成分だと考えられており、生に近い形で食べるとリスクが高まるそうです。

手軽に採取できて美味しい海藻『オゴノリ』 女性が生食すると危険なワケとは?オゴノリをしっかり茹でる(提供:茸本朗)

また、オゴノリによる食中毒事故で死亡したのはすべて女性で、男性の死亡事故はこれまでに発生していません。そのため、特に女性の方は自分で採取したオゴノリを、生に近い調理法で食べるのは避けたほうが良いでしょう。なお、市販のオゴノリは十二分に加熱するか、アルカリ処理による無毒化がなされているので安心して食べることができます。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>