絶滅寸前のアジが登場

その後も魚釣りを続けていましたが、メバルの釣果はこの一尾に留まりました。しかし最後の一投で思わぬ魚が現れました。同様に絶滅危惧種といわれている、アジです。

200年後の大阪湾の釣りを予想してみた アジとメバルは絶滅危惧種レベルに?2223年、アジ(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

朽ちた常夜灯の周りでジグヘッド単体の仕掛けを投げていると、ピピピと軽微な感触が手元に来て、釣り上げることができました。20cmの小さなサイズですが、養殖海でなく、自然の海での釣果の報告は近年まったくありません。200年前の海では“無数”にいるといわれるほどポピュラーであった魚の一種だったようですが、この魚もまた「異変」の影響のために絶滅の危機を避けられませんでした。

かつての海ではアジがすべての魚の捕食対象となっていたといわれており、かれらが海の最重要資源であったという記録もあります。そのため現在でも養殖海にて養殖が粘り強く続けられていますが、とても200年前の供給量に追いつくものではありません。私たちが今、商店で手に取ることのできるアジは、1尾5000円からと高価なものです。

タフなシーバス

釣り上げることはできませんでしたが、シーバスという、正式名称スズキを波止際で目にしました。「異変」の影響で大型化した特別種で、数こそ少なくなったものの、その大きさは2mがアベレージと、200年前の2倍になったといわれています。

その他ボラなど、汚染に強い魚の身体構造の特徴はどこにあるのか、研究が続けられていますが、未だにわかっていません。シーバス、ボラ、またちょうど200年前から南方から本州に上ってきた古代種の一種のカライワシのルアー釣りは、今でも一部の釣り人たちにもてはやされています。

<井上海生/TSURINEWSライター>