一昨年の刊行開始から、累計12万部を超えた作家・五木寛之さんの「人生のレシピ」シリーズ。その最新刊となる『人生のレシピ 本を友とする生き方』が、NHK出版から1月10日(水)に発売された。
Vol.1『人生百年時代の歩き方』、Vol.2『孤独を越える生き方』、Vol.3『健やかな体の作り方』、Vol.4『疲れた心の癒し方』、Vol.5『幸せになる聞き方・話し方』、Vol.6『新しい自分の見つけ方』も全国の書店で販売中だ。
記憶に残る1行があれば十分という五木さん読書法
「人生のレシピ」シリーズVol.7となる今回のテーマは「本」。筆者の五木寛之さんは、「行き当たりばったりの好奇心で、あらゆるジャンルの本を読む――それが私の読書です。」と述べる。
五木さんは、『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、『青春の門 筑豊篇』等で吉川英治文学賞、『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞など、多数の賞を受賞してきた日本を代表する作家だ。
その著作は幅広く、小説はもちろん、歴史・エッセイ・音楽・車・鍼灸に関するものなど、少年時代から続けてきた「ごった煮読書」が、作家としての自身の仕事ぶりを形成したと語る五木さん。
91歳になった「生き方の先輩」五木さんが贈る、人生百年時代を豊かにする必読ガイドが『人生のレシピ 本を友とする生き方』だ。
その内容を「はじめに」より抜粋した部分を参考に簡単に紹介しよう。
五木さんは「戦後の一時期、読書ブームというのがありました。読書週間が近づくと、いろんなスローガンが新聞の見出しなどになり、なかには、読書すると人は美しくなる、などという、およそいいかげんな標語もあったものです。」と述べたうえで、「しかし、本を読むことは、人間にとって本当に必要なことでしょうか。」と疑問を投げかける。
そして「たしかに、私は本にかこまれた生活をしていますが、たくさんの本を次々と読み、それを本棚に並べておくことが大事なのではありません。本を読むのはいい。読むのはいいが、その本を、わざわざ保存しておく必要はない。最近、私はそう思うようになりました。」と語る。
さらに「一冊の本を読んで、いやでも頭の中に残る一行があれば、それで充分。忘れてしまうような内容は、もともと縁がなかったのだと諦めていい。一冊の本の中の一行が頭に残るのは、なにげなく読んだ言葉が、錐をもむようにこちらの魂に突き刺さってくるときです。そういう言葉は、忘れようとしても忘れられるものではありません。」とその読書法を述べる。
大人も子どもも、本を読まなくなったと言われ久しい昨今の日本。しかし、読書は知識獲得のために強制されてまでするものではない。好奇心に任せて、自分の思うままに本を選ぶことで、忘れ得ぬ作家に出会ったり、魂に突き刺さるような言葉に出会ったりできる。そんな読書の極意を同書から学んでみては。
人生のレシピ 本を友とする生き方
著者:五木寛之
出版社:NHK出版
発売日:1月10日(水)
定価:935円(税込)
判型:A5判並製
ページ数:112ページ
(高野晃彰)