サッカー日本代表「森保ジャパン」は、今月14日開催のAFCアジアカップ・グループステージ第1節でベトナム代表相手に4-2で勝利。MF南野拓実(ASモナコ)らの活躍が話題を呼んだが、地上波放送がなく、スポーツ動画配信サービス『DAZN』での独占生中継だっただけに、日本代表OBの田中マルクス闘莉王氏は複雑な気持ちを抱いているようだ。
日本代表戦はこれまで主に民放やNHKで中継されていたが、DAZNが2021年にアジアサッカー連盟(AFC)と2028年までの長期契約を締結。W杯最終予選やアジアカップなど、AFC主催大会の放映権を獲得したことにより、カタールW杯最終予選のアウェイゲームはDAZN独占生中継となり、地上波で放送されなかった。
今回のアジアカップ2023カタール大会でも、グループステージのベトナム戦とインドネシア戦、決勝トーナメント1回戦はDAZNが独占生中継。イラク戦や準々決勝以降については、DAZNの他にテレビ朝日が全国放送する予定だ。
ただ闘莉王氏は、ベトナム戦が地上波で放送されなかったという事実に危機感を抱いている模様。15日に自身のYouTubeを更新し、ベトナム戦を振り返る際に「なぜブラジルで放送されているのに、日本(の地上波)で放送されないのか?まずそこがおかしいでしょ」と苦言。
地上波放送を通じて日本代表に触れる機会が減少しているだけに、南アフリカW杯の代表メンバーである同氏は「日本サッカー協会(JFA)がちゃんと考えていかなきゃいけないと。これがまず良くない。少しいただけないことかなと思います」と訴えた。
DAZNは2016年8月23日に日本国内でのサービス提供を開始すると、2017年からJリーグや海外サッカー中継もスタート。Jリーグとは2017年から10年間で約2100億円という放映権契約を結んでいたが、2023年3月に契約内容を見直し。
一部でDAZN契約者数の目標未達の可能性がささやかれているほか、2023年10月28日にカターレ富山がファン・サポーター向けに開催した「第3回秋春シーズン制移行タウンミーティング」では「放映権料について、当初、Jリーグはダゾーンと年間視聴者数を100万人でグリップしているが、現在は40万人程度に留まっているため、ダゾーンは大赤字となっている」と報告。この厳しい現状もあり、DAZNは今年2月14日から3年連続となる利用料金の値上げを公式発表している。