ぱっと見似ているけど異なる生物であるエビとシャコ。この二種に加え、名前が紛らわしい別の生物も存在しています。
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エビとシャコはまったく違う生き物
甲殻類とよばれる生き物たちには沢山の種類がありますが、知名度が高いものはカニ、エビ、ヤドカリそしてシャコでしょう。
この中で比較的間違われやすいものがエビとシャコ。どちらも細長くて脚が多く、食用としても人気の食材ですが、生物学上はかなり違います。
エビはカニやヤドカリと同じ十脚目(エビ目)に含まれますが、シャコは口脚目(シャコ目)に含まれ、互いにかなり遠縁です。エビには小さなハサミがありますがシャコにはハサミがなく、そのかわりにカマキリのカマのような形状の捕脚を持っています。
シャコとアナジャコは?
シャコとエビが異なる生き物であることはわかりましたが、シャコとエビの中間的な見た目をした生き物もいます。アナジャコと呼ばれるその生き物は、頭部がエビ、尾がシャコに似ておりまるでハイブリッドな外見をしています。
アナジャコは名前的にもシャコの近縁種と思われがちですが、十脚目であるためどちらかというとエビやカニに近い。干潟に深い穴を掘って生息しており、獰猛そうな見た目と裏腹に泥の中の有機物を濾し取って食べているおとなしい生物です。
性質も臆病であまり巣穴から出てくることはないのですが、異物が侵入すると追い出そうとして顔を出すため、筆を用いて捕まえる方法がよく知られています。味はエビよりもシャコに似ていますが、ホヤのような風味があります。
「エビジャコ」は無関係
アナジャコよりももっと紛らわしい名前を持つ「エビジャコ」と呼ばれる生物もいます。前述の生物たちよりも知名度が低いためより混同されがちですが、この場合のジャコは「雑魚」、つまり取るに足りないものという意味から来ており、シャコとは関係ありません。
エビジャコはエビの一種で、多くはその名の通り小さく、食用に向きません。しかし一部の大きくなる種類は食用にされており、特に「クロザコエビ」はモサエビ、ガスエビなどと呼ばれ、甘エビの上位互換などといわれて珍重されています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>