江戸の浮世絵師・葛飾北斎が晩年を過ごし制作に打ち込んだ信州小布施にある「北斎館」では、年に5回、企画展を開催している。1月20日(土)から3月31日(日)までの企画展テーマは「勝負」。
歴史上の戦いや、物語の争いなど様々に描かれる「勝負」を鑑賞しよう。
北斎作品の中でも人気のテーマ「勝負」
北斎が手掛けた版画作品には様々な題材の作品があるが、その中でも「勝負」は人気のテーマといえるだろう。
英雄たちによる歴史的な一戦や戦闘シーン、不気味な妖怪と人間の対決、動物たちの知恵合戦、大自然の脅威と対峙する物語の主人公たち。はたまた、くだらなそうな喧嘩まで。
一枚の浮世絵の中で繰り広げられる様々な「勝負」は、見るものを絵の中に引き込むような臨場感を持ち合わせている。今回は「和漢絵本魁」や「絵本武蔵鎧」などの版本作品を中心に、北斎が描いたスリルあふれる戦いから、くすっと笑ってしまうような争い事まで、数々の「勝負」を観られる。
繊細な筆遣いで描かれた迫力ある「勝負」
「勝負」をテーマに取り込んだ作品としては、天保7(1836)年に刊行された「絵本魁」や嘉永3(1850)年に刊行された「絵本和漢誉」などの歴史上の武将を描き上げた版本作品が挙げられる。
「絵本和漢誉」は、日本と中国で誉高い武人を取り上げたもの。英雄たちの力強い姿絵や戦闘シーンは迫力がありながら、髪の毛の一本一本やこまごまとした衣装細工からは繊細な筆遣いが感じられる。
主人公が対峙するさまざまな「勝負」
不気味な妖怪と人間の対決、動物たちの知恵合戦、大自然の脅威と対峙する物語の主人公たち……といった対人以外の「勝負」も描かれている。
庶民に関わりの深い「勝負」
江戸の文化の中にも様々な「勝負」があふれていた。剣や槍の試合稽古、馬術などの競技は武士たちの間で盛んとなり、現代でも人気の相撲は江戸の人たちを熱狂させた。
急激な物価高を図案化した巨大うなぎに抵抗する職人たちの必死な様子は、滑稽でありながら現代人も共感できる一面を持ち合わせている。
「北斎×現代のアーティスト」企画も同時開催
期間中、北斎の作品と、それをもとに現代に生きるアーティストたちが制作したアート作品を展示販売する。
これらの作品は、アーティスト一人一人が北斎作品と向かい合い、そこから生まれた感情や感じ取ったインスピレーションをもとに制作したもの。この試みはアーティストにとっては挑戦であり、北斎作品との「勝負」であるともいえる。
参加アーティストは、江藤雄造氏・梶原大敬氏・給田麻那美氏・富田直樹氏の4名。
参加アーティストによるトークショー
1月27日(土)13時30分から15時の間は、参加アーティストによる無料のトークショーが開催される。
また、同トークショーは、北斎館公式インスタグラムにてライブ配信予定だ。
北斎の「勝負」と現代アート作品、どちらも観る人の心を揺さぶるだろう。
企画展「いざ、勝負!」
会期:1月20日(土)~3月31日(日)
開催時間:9時から17時まで
入館料:1,000円
※会期中は無休
※最終入館は16時30分まで
北斎館
所在地:長野県上高井郡小布施町大字小布施485
(MOCA.O)