日本企業の決算はどうかと言えば、23年の相次ぐ値上げラッシュでそれが見事に決算に反映されるので良い数字が出てくるだろうとみています。特に「前年比」という括りで見れば23年3月期はコロナの影響で冴えない数字だったので24年3月期は比較論で見れば驚くほどジャンプできる決算になるはずです。ただ、気をつけるべきは株価は先を見て反応しやすい点です。これから決算発表を迎えますが、24年3月期より25年3月期を各社がどう予想しているか、これが株価に最も影響しやすくなります。

日銀植田総裁は春闘の行方を見て金融政策の判断をすると言っています。あまり指摘されたことがないのですが、日銀は日々のテクニカルな金融コントロールにとらわれ過ぎて本来あるべき経済政策の趣旨を置き去りにしています。つまり、金融正常化こそが日本経済に活力を与える正しい政策である点です。さもないとゾンビ企業を無尽蔵に生み出し、キャッシュフローだけをビジネスの拠り所とする悪い企業体質がまん延し、国内のデフレが逆に進みやすいという点を放置しているのです。

今年は日本企業が復活できるかの試金石とも考えています。その為には経営陣が若返ること、国際感覚を十分に養うこと、攻める経営ができること、の3つを挙げておきたいと思います。特に主要企業は売り上げや利益の過半を海外に依存する時代になってきています。私は中期的に海外比率が75-80%まで引きあがるとみています。つまり日本企業と言えども国際化せざるを得ないわけです。その為には海外拠点のみならず、国内の本社など中枢機能でも外国人の活用が進むはずで本格的な社員への洗礼と競争が生まれるはずです。また経営陣も外国人従業員を使いこなせないければ意味がないとも言えます。英語ができるだけの経営陣はいりません。

一方、地球の中の日本という位置づけも必要です。グローバル化が進んだ今日において世界経済や貿易の流れは重要です。例えば日本は中国との貿易量が一番多いわけですが、日中問題次第ではこれに大きな影響が出ます。トランプ氏は大統領に選出されたら国内産業保護を打ち出しており、各種関税を導入するでしょう。人口減の日本にとって海外拠点を通じたビジネスを拡大するにおいてそこはキーポイントなのです。

例えばホンダがカナダに巨額のEV工場投資を決めました。アメリカではなく、カナダである点がミソなのです。政治的リスクを最小限にとどめ、北米ビジネスを享受できる賢いプランだと思います。

最後に国内産業ですが、日本人の実質賃金は下がっていてデフレリスクがあると一部アナリストは懸念を示しますが、訪日外国人が物価を引き上げている部分はあると思います。ホテルや一部の観光地はそうでしょう。築地場外市場の飲食店相場は外国並みの高さです。つまり、外国人をうまく取り込む国内産業は勝ち組になるとみています。

これらを見ていくと2024年の概観はつかめてくると思います。皆さんにとってよい2024年の投資になればと思っています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年1月10日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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