富士通の見解

 次々と有罪判決が覆され、無実となった元郵便局長たち。21年当時のボリス・ジョンソン英首相もTwitterにて「元郵便局長の有罪判決を覆す判決を歓迎する。二度と同じ間違いが起こらないようにするため、教訓を学ぶべきだ」と語った。

 では裁判で認められるほどシステムに欠陥があったにもかかわらず、なぜポスト・オフィスはホライゾンの稼働を中止しなかったのか。その理由のひとつには、英国政府と富士通UKの癒着にあると指摘する声がある。BBCニュースによると、英国政府の歳入関税庁、労働・年金省のITシステムは、長らく富士通のものを利用しており、今や富士通なしでは英国政府のITは機能しないという。

 また04年、富士通が英国民保健サービス(NHS)と契約した際に、開発の遅れでNHSが富士通との契約を打ち切ったことがあった。それに富士通は反発し、訴訟を起こした結果、NHSは敗訴。富士通に対して多額の支払いを行うことになった。このように英国政府との深い関係、NHSの訴訟の前例があることからポスト・オフィスは、富士通との契約を打ち切ることに消極的だったとの指摘もある。

 富士通は当サイトの取材に対し、次の回答を寄せた。

「本件を厳粛に受け止めています。当社の英国子会社は、現在の法定調査が開始されて以降、継続的に協力をしており、将来に向けて重要な教訓が得られるよう、最大限の透明性のある情報を提供し続けることを法定調査に対して約束しています。現時点で法定調査が進行中であるため、本件に関するこれ以上のコメントは差し控えさせて頂きます」

 元郵便局長たちが受けた社会的、経済的損失ははかりしれない。公聴会を経て、富士通がどのような行動を取るかについて注目が集まっている。

(取材・文=A4studio)

提供元・Business Journal

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