MBOが失敗する事例も

 だがMBOはそう簡単ではない。なぜならば、PBR1倍割れのMBOについてはアクティビストの介入などによって非公開化が阻止されることもあるからだ。たとえば、光陽社、サカイオーベックス(1度目)、日本アジアグループは当初発表したMBOについてTOB価格が十分でない、あるいはPBR1倍よりも低いなどを理由にアクティビストなど株主から批判・介入され、MBOに失敗した。このようなMBOの失敗事例に共通するのは、アクティビストの介入や市場株価がTOB価格を上回ることで、非公開化に必要なTOBの下限まで応募が集まらないという点だ。

 現に投資信託「マネックス・アクティビスト・ファンド」のマザーファンドなどに投資助言を行うカタリスト投資顧問は12月1日付ニュ―スリリースで、大正製薬HDのMBOについて「より強いリーダーシップを発揮して機動的な企業活動をするために、MBO は合理的な経営判断であると考えます」と一定の評価を示しながらも、TOB価格について「少数株主を軽視している」などと表明した。

 これについて、大正製薬HDは「TOBにおいては、専門的な算定機関の算定に則していること及び市場株価に対してどれだけ株主様にとって適正なプレミアムが加味されているかという点が最も重要だと認識しております。当社のMBOへの賛同・応募推奨に至るプロセスにおいても、独立した特別委員会が機能し、交渉過程において価格の引き上げが実現するなど、少数株主保護の観点からも適正な対応を行っております」としている。