道具と職人博物館

教会も建築もひとつひとつ写真を並べたいくらいに見どころが目白押しのトロワですが、その中で今日一押しでご紹介するのは『道具と職人博物館』です。場所は旧市街の少し西寄り、モーロワ邸に入っています。

【フランス】セーヌ川の流れる中世の町トロワ:道具と職人博物館
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<通りから見たモーロワ邸入り口 ©Kanmuri Yuki>

このモーロワ邸も前述の1524年の火災の後再建されたものです。再建者の名はジャン・モーロワ。トロワの北東にあった村コラヴェルデの領主であり、通貨担当行政官でもありました。同氏は後に、病院や、孤児のための職業訓練所コレージュ・ド・トリニテなども設立した人物です。モーロワ邸の建つ通りが「トリニテ通り」と呼ばれるのは、このコレージュ・ド・トリニテに由来するものです。

【フランス】セーヌ川の流れる中世の町トロワ:道具と職人博物館
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<モーロワ邸中庭 ©Kanmuri Yuki>

さて、モーロワ邸の門をくぐると誰もがまず目を奪われるのはこの建物そのもの!モーロワ邸自体が美術品のように美しく、博物館見学目当てで訪れた人も、まずは皆、中庭で建物の写真を撮らずにはいられなくなる魅力を持っています。モーロワ邸は、国の歴史的建造物の指定も受けており、『三銃士』などの映画の撮影にも使われたことがあります。

一万二千もの道具たち

【フランス】セーヌ川の流れる中世の町トロワ:道具と職人博物館
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<道具と職人博物館の展示一部 ©Kanmuri Yuki>

とはいえ、道具と職人博物館のコレクションは、この建築のすばらしさにも負けていません。展示されているのは、17世紀から19世紀のありとあらゆるジャンルの職人らが用いた12,000点に上る道具たち。その展示の仕方も芸術的で、どの部屋に入っても思わず感嘆のため息が出ます。

【フランス】セーヌ川の流れる中世の町トロワ:道具と職人博物館
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<展示室のひとつ ©Kanmuri Yuki>

芸術家と異なり、個人の名は時の流れに埋没してしまうのが常の職人たちですが、彼らの道具はこんなにも美しく作られ、丹念に手入れされ、手足の一部であるかのように長く長く用いられてきたのです。展示を見ているだけでその重みが伝わり、圧倒されるような心地がします。

【フランス】セーヌ川の流れる中世の町トロワ:道具と職人博物館
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<舞うような鏝(こて)たち ©Kanmuri Yuki>

莫大で貴重なデータを整頓する道具と職人博物館。サイトやパンフレットには、過去を並べるだけではなく、「現在また未来につながる職人の技と知恵をしっかり評価することを目的とする」と明言しています。1センチ1ミリまで計算されているかに見える展示には、そういう博物館の矜持も感じとることができるでしょう。

道具と職人博物館

  • 休館日:10月から3月の火曜日、年末(2023年年末は12月23日~1月2日)
  • 開館時間:9時~12時、14時~18時
  • 入館料:大人8ユーロ、12~18歳4ユーロ、12歳未満は無料
  • 公式サイト:道具と職人博物館
【フランス】セーヌ川の流れる中世の町トロワ:道具と職人博物館
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<器械体操でもしているかのような金槌たち ©Kanmuri Yuki>

余談ですが、展示には、今はほぼ使わなくなった道具や職業の名前、さらに数々の専門用語がこれでもかと並び、そういう意味でも面白い博物館でした。いわば、3Dの百科事典を眺めている気分になります。世界的に見ても貴重なコレクション、トロワ観光の際にはお見落としなく。

文・写真・冠ゆき/提供元・たびこふれ

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