ブラジル2部降格クラブのサントスは先月、V・ファーレン長崎と契約更新したファビオ・カリーレ監督の招へいを一方的に公式発表。「現在まで契約に関する正式な手続きを再三求めているものの、未だにオファーレターも届いていない状況」という長崎側の声明に反応している。
カリーレ監督については、長崎が先月4日に2024シーズンの契約更新を公式発表したにもかかわらず、サントスが19日に同監督の招へいを発表。翌日に長崎が「急な状況に困惑」と声明を出すなど、日本国内で波紋が広がっている。
一方ブラジルメディア『Bola Vip』が先月28日に伝えたところによると、サントスのマルセロ・テイシェイラ会長は「カリーレ監督を巡る問題は解決済み」との認識を示したとのこと。同メディアは「長崎は違約金700万レアル(約2億円)を受け取っていないと主張し、カリーレ監督とサントスの合意についても知らされていなかったと主張している」
「サントスは2023年10月に、日本の鯉や移民船をモチーフとしたユニフォームを発売するなど、日本に対して愛情を注いでいた。しかし日本側はサントスの態度に恨みを抱いているようだ」と綴っていた。
そんな中、長崎は今月5日に再び声明を発表。2023シーズンまで大分トリニータを率いていた下平隆宏氏がトップチームのヘッドコーチに就任したことを明らかにした上で、カリーレ監督を巡る問題が全面解決するまで同氏が暫定指揮を執るという。
またサントス側の対応については「今月5日現在まで契約に関する正式な手続きを再三求めているものの、未だにオファーレターも届いていない状況」と説明。「我々としては、今後の日本サッカー界のためにも一方的に契約を破棄したことによる違約金に関しては支払いを求めるべきだと考えております」としている。
するとサントスも日本時間6日朝に声明を発表。公式X(旧ツイッター)アカウントにて「長崎に敬意を表し、クラブ間の良好な関係を維持するべく、サントスはカリーレ監督の状況に関する完全な透明性を示すために、今後数時間以内に長崎へ連絡する予定だ」と、問題解決にむけてクラブの方針を打ち出した。
サントスが長崎に対してカリーレ監督との契約解除を働きかけ、違約金ゼロでの招へいを狙うとの指摘も飛び交っている今回の二重契約問題。違約金の支払いを求める長崎に対して、2部降格により財政面で余裕のないサントスがどのような対応を見せるのか注目が集まる。