■「基本的にレイラインは“ファンタジー”」
レイライン支持者の中には、先史時代の遺跡が互いに位置を合わせて建設されたと主張し続けている者もいる。
たとえばコーンウォールの象徴である「聖ミカエルの山(St. Michael’s Mount)」を端緒に、大天使ミカエルに捧げられた多数の記念碑を結ぶ全長約563キロメートルの直線のレイラインは「聖ミカエルライン」と呼ばれている。

数学者たちはこの主張に反論するために、地図上に線を引くと、つながっていないサイトが簡単にリンクしているように見えることを繰り返し実証してきた。ロンドンのクイーンメアリー大学のマット・パーカー氏は、イギリス全土のウールワース(スーパーマーケット)店舗の場所を結ぶレイラインをどのように特定できるかを明らかにしている。
パーカー氏の研究が示すように、レイラインの問題はイギリスには古代遺跡が非常に多く、教会、井戸、巨石などが容易に一本の直線上に配置できることである。
その意味でレイラインは「ラムゼー理論(Ramsey Theory)」として知られる数学的概念を完璧に示したものであり、選択できる十分なランダムなデータがある限り任意のパターンを見つけることができるという。
イギリスにレイラインの作成を可能にする十分な遺跡がある場合、世界中の何十万もの古代遺跡を含めると、作業はさらに簡単になる。

だが一種の“都市計画”として施設や建造物が意図的に配置されたケースもないわけではない。
たとえばインカ帝国は、首都クスコから放射状に広がり、王国の外縁に向かって延びるセケ(ceques)として知られる一連の儀式用通路によって区画されていた。これらの直線に沿って、ヒスパニック以前の文化ではワッカとして知られる儀式用の標識が設置されていたのだが、その目的は何だったのか、また各セケの軌道をどのように決定したのかは正確にはまだ不明である。
一方、中国では「風水」の伝統文化があり、気と呼ばれる普遍的なエネルギーを調和させるために「気の流れを物の位置で制御する」という技法が発展した。気は地球のエネルギーと完全に同じではないものの、風水とレイラインの考え方との間には明らかな類似点がいくつもある。
オープン大学の考古学者ロバート・ウォリス博士は「基本的にレイラインは“ファンタジー”だと思う」と言及しているが、そう言い切ってしまうのが残念に思えるほどには魅力的なアイデアのような気もするがいかがだろうか。
参考:「IFL Science」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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