いまや、1964年の初代から1998年に製造を終えた「993型」までの、いわゆる”空冷エンジン”世代の「ポルシェ911」シリーズの中古車市場相場がとんでもないことになっているのは、ご存知の方も多いことだろう。
また、日本に新車でもたらされたポルシェ911は制限速度や車検の存在に加え、第一に高級車として扱われることも多く、シャカリキになってサーキットを攻めたり、最低限のメンテナンスで高速でかっ飛ばすような使われ方をあまりされないことから、距離が伸びていない上に程度も良い、というのが世界的な”911バイヤー”の常識となっている。それもあって、ここ数年の円安や国内景気状況も後押しして”良いタマ”はどんどん海外へ流出してしまっている。
そうした日本独特の”ポルシェ911観”の象徴的存在として、ヒエラルキーの頂点に君臨するモデルがある。それが今回、メイクアップが同社初のファクトリーストック(新車の工場出荷時の状態)911の1/18モデルとしてリリースする、日本仕様の「993型RS」である。
993型は1993年に発売された911シリーズの第4世代だが、RSは1995年に追加ラインナップされている。RSが意味するのは「RENNSPORT (レーシングスポーツ)」で、その名の通りサーキット走行などを前提に、後席の排除やトリムの簡素化や軽量素材の使用による軽量化、足回りの強化が施された。
さらに同モデル専用の3.8L 自然吸気エンジンを搭載したピュアスポーツだ。同車にはロードゴーイング仕様のほか、さらなる軽量化に加え、外装にエアロパーツを装備したクラブスポーツ仕様も存在する。
そんな993型RSの日本仕様であるが、日本市場の独特のニーズに合わせて、実はスペシャルオーダー・バージョンになっている。元々993型RSはほぼコンペティションスペックなので、実は軽量化に伴い、エアコン、パワステ、エアバッグといった、快適・安全装備の一部をオミット(除外)している。
ところが日本仕様は、そこまで激しい使用を前提としていないこともあって、エアコン、パワステ、エアバッグが装備され、しかも外装には本来クラブスポーツにしか備わらないエアロパーツがセットされているのである。
993型RSの総生産台数1,100台に対し、日本仕様が占めるのはその約2割弱の200台程度となり、”快適でカッコいい993型RS”として、世界中の空冷911ファンが注目して、とんでもないプライスで取引されているのは想像に難くないところだろう。
そんなやや特殊な993型RSの日本仕様を、メイクアップが同社初の1/18空冷911モデルのモチーフに選んだのは必然という気もする。モデルの製作にあたっては、実車のスキャニングを行い、そこで採寸したデータを元に3D CADで原型を設計するという、同社ならではのスキームを経ており、プロポーションの良さは折り紙付きだ。
1/18モデルとあって、高解像度なディテール表現が求められるため、同社がこれまでリリースしてきた1/43の993型とは別の原型を新規に設計してのリリースとなる。
実車のパーツ分割を研究したこともあって、実車さながらの表情を見せる灯火類、金型成型部品を使って美しい3次曲面を描くウィンドウ類、そして実車同様にアルミリムを使用したホイールなど、49,500円(税込)という値段も納得のフィニッシュ。
色は写真の「リビエラブルー」のほか、スピードイエロー、ガーズレッド、ホワイト、シルバーが用意される。リリースは2024年5月と先だが、いかんせん少数生産のメイクアップゆえに、予約しておいた方が吉と出るだろう。
■商品ページ: https://www.makeupcoltd.co.jp/products/detail/1492
■メイクアップのポルシェ911一覧:
https://www.makeupcoltd.co.jp/products/list?category_id=&name=911
文・鵜飼誠/提供元・CARSMEET WEB
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