自らの命を寺院建立に捧げたシーさんの伝説
本堂の中だけでも多くの女性が真剣に祈願している姿を見ることができました。しかし、なぜこれほどまでに女性の信仰が集まるでしょうか。それにはシーという女性の誰にもまねのできない伝説に由来しているのです。

<女性の絶大な信仰を集める寺院>
その伝説をご紹介いたします。
1563年、セーターティラート王がこの寺院を創建する際、建設の穴を掘っていると穴の中に大きな岩があり、その岩がどうしても動かないことから建設が止まってしまいました。
そして、この岩を動かすには、神に捧げる人身御供(ひとみごくう)、いわゆる"生けにえ"が必要となりました。誰も生けにえに名乗りでない中、シーという若い妊婦が、寺院建立のために、支柱を建てる穴に飛び込み、自らと母体の子の命を捧げたのです。
岩は動き、寺院の建立は進みました。この時からシーさんは町の守り神として、伝説の女性になったのです。

<シーさんへ感謝を祈る女性たち>
本堂の裏には大きな祭壇あり、そこにはたくさんの仏様が祀られ、ここでも多くの女性が祈りを捧げていました。この寺院を建立できたことへの感謝、そして人生の節目での報告をしているのでしょう。そこはお線香とジャスミンの香りに包まれた、とても清らかな空間でした。

<本堂の奥にある大きな祭壇>
その祭壇の更に後ろにシーさんが祀られているのです。ガラスケースに丁寧に囲われたシーさんはラオスの伝統衣装に身を包み、目の大きな美しい方であるのが分かります。このシーさんがお腹の子どもと共に命を捧げてこの寺院の建立を実現させたのです。

<ガラスケースに丁寧に祀られるシーさん>

<大きな目の美しい女性>
恋愛のお願いは禁止
制服を着た2人の女性に出会いました。彼女たちはどんな節目で儀式を受けに来たのか聞いてみました。
「私たちは大学の一年生です。ワナケートという南の田舎から来たばかりで、まだビエンチャンのことは何にも分からないんですよ。大学に入れて、寮に引越しもできたのでその節目でお祈りにきました。
将来は銀行員になりたいので大学ではその勉強をします。たくさんの知識が身に付くようにお祈りしました。」

<大学入学の節目にお参りに来た女性>
ここは恋愛にもご利益があるって日本で聞きましたが、そんなお願いもしたのですか?
「えー、それ逆ですよ。ここではそうゆうお願いはしたらダメなんですよ!」
やはり現地で聞いてみないと分からないことばかり。笑われてしまいました。

<大学入学の節目にお参りに来た女性>
施設名:ワット・シームアン
住所:15 Rue Bourichane, Vientiane
入場料:無料
まとめ
ラオスの首都ビエンチャンで最も人気があり、最も美しいとされるお寺。その参拝者の多くが女性で、本堂では僧侶からバーシーというラオス伝統の儀式を受けています。
この寺院には、自らと母体の子どもの命を捧げ、この寺院建立を実現させたシーという女性の伝説があり、多くの女性はこのシーさんへの想いからこの寺院へ参拝に訪れているのです。本堂の奥に丁重に祀られているシーさんに手を合わせにぜひお出かけ下さい。
文・写真・KOJI SAITO/提供元・たびこふれ
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