人手不足という問題
体力面だけでなく、メンタルを保つのも大変だという。社会人1年目で、職員だけでなく、生徒やその保護者など多くの人々と向き合わないといけないのは、なかなかハードルが高い。
「保護者の方々への対応は大変そうに思われがちですが、こちらが1年目というのが伝わっているので、それも踏まえて受け入れてくれる面はあるのかなと思います。ただ、生徒たちは、そんな忖度をしてくれないので大変かもしれません。生徒と信頼関係を結ぶということは、1年目だろうが10年目だろうが関係なく、個々に向きあっていくことが重要です。逆にいえば、保護者の方々は基本的に子供の目線を通して意見を言ってくるので、生徒たちとしっかりとした信頼関係ができていれば問題も起きにくいですし、クレームも少なくなるのではないでしょうか」(同)
とはいえ、体力的、精神的に追い込まれ、休職や退職をしてしまう新卒教師も多いという。教師という職業に憧れがあり、ドラマのようなイメージを持っている人ほど、現実の厳しさに打ちのめされてしまい、心が折れてしまうということもあるようだ。
「確かに、憧れを持って教師になった人は、挫折することもあるかもしれません。なので、もっとほかのことに目を向けたほうがいい。例えば、教師は同年代に比べて年収が高いですし、勤続年数を重ねるほど着実に給料が上がっていきます。福利厚生も恵まれている。そういった条件面にモチベーションを見出して続けるという人が多いかもしれないですね。
私が教師を辞めようと思ったのは、同じ学校の同僚が倒れて、そのまま退職していったのがきっかけです。その同僚が労災請求をしたこともあり、事実確認みたいなことで私の労働状況も聞かれる機会があって、それに答えているうちに、この仕事は改めて負担が大きいと思ったし、本当にこのままやっていけるんだろうかということを改めて考えたんですよね」(同)
新卒教師に限らず、職員の悩みや今後のキャリア形成に対して適切なサポートが受けられないケースも多いというが、その大きな要因はやはり人手不足だ。
「サポートに関しては配属された学校によりますが、できるだけ新任への負担は最小限にしようという意識はあると思います。でも、人的リソースが足りないのでサポートしきれずに、休養したり、辞めてしまうということがある。そうなると、新たな人材を採用しなければいけないのですが、その補充もスムーズにいかない。今後の教育現場を考えると少子化という流れは決まっているので、これから人員を増やしていこうという機運がないのだと思います」(同)
新卒の教師にクラス担任を任せてしまうのも、個々の業務の負荷が大きくなってしまうのも、人手不足ということに尽きる。しかし、もはや成長産業ではない「学校」には人材が集まらず、数少ない若手により負荷がかかってしまうという構造のようだ。
(文=清談社)
提供元・Business Journal
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