欧米に伝わる都市伝説に「黒い目の子ども(Black-Eyed Kids、BEK)」がある。BEKは6~16歳の子供の姿をしていて、眼球全体が真っ黒である。欧米には多くの目撃証言があり、これらの証言によると、BEKはその黒い目で人を驚かせて姿を消したり、家や車に入れてほしいと要求したりするという。
さまざまな媒体で紹介され、映画化もされたBEKだが、その目撃談の真偽については現在も議論が続いている。もっとも、BEKに近い病気は実際に存在する。眼球の内側にあるぶどう膜(脈絡膜、虹彩、毛様体)にできる皮膚がんの一種「ぶどう膜悪性黒色腫」である。医学メディア「MEDizzy」に掲載された画像から、ぶどう膜悪性黒色腫患者(68)の眼球が文字通り完全な“真っ黒”であることを確認できる。眼球は光を知覚できず、軽い痛みがあるという。この患者は4年前、皮膚組織の一部にメラニンが過剰に沈着する「症状色素性病変」にかかっていた。
ぶどう膜悪性黒色腫は毎年、約750人の英国人と2,500人のアメリカ人が患者として診断されるほど一般的ながんで、診断年齢の中央値は55歳である。症例の半数は通常、診断後10~15年でがんがが転移して全身に拡がり、特に肝臓に転移した患者は死に至ることが多い。眼球以外の部位の悪性黒色腫とは異なり、紫外線暴露が発症の要因となるわけではない。
英サットン・コールドフィールドに住む女性、キャロル・プレーヤーさん(56)は、誤って目に香水をスプレーしてしまった後、ぶどう膜悪性黒色腫を発症した。キャロルさんの眼球は摘出され、医師からは「これ以上の治療は必要ない」と言われた。しかし、それから約5年間後の2019年11月、キャロルさんの肝臓にがんが転移していることが発覚した。
キャロルさんのように、ぶどう膜悪性黒色腫を発症した患者の多くは、全身をがんに蝕まれ、死への恐怖に怯えながら生きることになるのだ。BEKの都市伝説は、ぶどう膜悪性黒色腫への恐怖から生まれたのかもしれない。
(文=標葉実則)
※無修正の画像は医学系プラットフォーム「MEDizzy」にてご覧いただけます。
参考:「MEDizzy」、「The Daily Mail」、ほか
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提供元・TOCANA
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