米ジョージア州アトランタには、5歳で殺された男の子がいる。この写真は唯一残されたテレル・ピーターソン君の写真だ。

テレル君の母親はクラック・コカイン中毒だった。クラック・コカインとは、コカインにかさ増し用として市販の鎮痛剤やその他の不純物を投入し、さらに重曹や水と混ぜて固形にしたドラッグで、主にガラスのパイプに入れてあぶって吸引する。コカインよりも安価であるため中毒者も多い。生まれたばかりのテレル君の血液からも、クラック・コカインの成分が検出されたという。
母親にはテレル君を含めて3人の子供がいたが、近隣の住民からは児童相談所への通報が相次いでいた。母親が薬物中毒であることや、子供に食事を与えず部屋に閉じ込めていたり、子供達が物乞いをしていたり……という内容だった。
その後、テレル君たちの保護権は祖母ファリナ・ピーターソン(当時48歳)に渡る事になった。ファリナはテレル君の異父兄弟の祖母に当たり、血のつながりはない。そしてこの日から、テレル君に関する虐待の通報内容は、母親と暮らしていた時のようなネグレクトではなく、身体への暴力へと変わる。

児童相談所のケースワーカーはコロコロ変わり、テレル君の案件は11人の職員、10人の監督者の間でたらい回しにされた。
ある日の休日、テレル君の姿を見た母親は、体中にあざやたばこで焼かれた痕があることに気づき救急車を呼んだ。病院からの通報でファリナは逮捕されたが、その翌日、テレル君はファリナの元へと戻されてしまう。
1週間後、ファリナの虐待に対する裁判が行われた。しかし、証人として呼ばれていた児童相談所の職員が出廷しなかったため、裁判官は事件を却下し、その時点で児童相談所もタレル君の件の調査を終了してしまった。
その3週間後、時折通っていた託児所の先生がテレル君の歩き方がおかしいことに気づいた。靴を脱がせてみると、両足裏の皮膚はひどくめくれて化膿しており、病院では3度の火傷と診断され、臀部からの皮膚を火傷で負傷した部分に移植する手術を受けた。
事情を聞かれたファリナは「テレルが誤ってヒーターの近くの柵を踏んでしまった」と話した。ところが医師は警察、児童相談所へ通報することなく、またしてもテレル君はファリナの元へと戻されてしまったのだ。
それから1年後、テレル君はファリナの暴力により死亡するのだが、その間、彼は想像を絶する程の暴力を毎日受け続けていた。これまで、テレル君が救われるチャンスは何度も訪れたにもかかわらず……。
心肺停止状態で病院に運ばれ死亡が確認されたテレル君は、5歳でありながら体重はわずか13kgしかなく、死因は飢餓、または頭部への強い打撃と発表された。
テレル君の異父兄弟は警察に対し、「テレルはいつもファリナにパンストで柵に縛られていた。便器に頭を突っ込まれたり、靴やベルトでいつも殴られていた」と語った。

その後の裁判で、ファリナとその娘テリーの両人に終身刑が言い渡された。
アトランタから南に約270キロ離れた、ある田舎町の小さな教会の横にあるひっそりとした墓地。テレル君の遺体はそこに埋められ、今は静かに眠っている。
教会の関係者は「ある日誰かが来て、穴を掘って(遺体を)埋めて帰って行ったよ」と語る。
それ以来、誰一人としてテレル君のもとを訪れる者はいないそうだ。
※当記事は2019年7月の記事を再掲しています。
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提供元・TOCANA
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