来年1月1日に国際親善試合タイ戦を控えているサッカー日本代表「森保ジャパン」。AFCアジアカップ優勝を目指す中、MF南野拓実(ASモナコ)とMF鎌田大地(ラツィオ)の序列が逆転しているかもしれない。
南野は昨年夏にリバプールからモナコへ完全移籍も、昨季は出場機会に恵まれず。カタールW杯本大会を最後に、日本代表にしばらく招集されていなかった。しかし今季はオーストリア1部レッドブル・ザルツブルク時代にも指導を受けたアドルフ・ヒュッター監督のもとで主力選手に。リーグ戦16試合出場で5ゴール4アシストと結果を残しているほか、今年10月におよそ1年ぶりとなる代表復帰。タイ戦に向けての代表メンバーにも名を連ねている。
一方、鎌田はカタールW杯直前に南野からトップ下のレギュラーを奪取。しかしW杯後から徐々に調子を落とすと、ラツィオではMFルイス・アルベルトの控え要員に。イタリア紙『イル・メッサジェッロ』は今月20日に「森保監督は鎌田に対して、(アジアカップで)招集する可能性が五分五分であることを伝えた」とした上で、南野とのポジション争いで後れをとっている可能性を指摘している。
両選手に対する周囲の見方は対照的だ。南野については、フランスメディア『ゲット・フットボール』が「南野は忍耐が美徳であることを証明している」とし、モナコ加入1年目からの変化を以下のように説明している。
「モナコでの最初のシーズンで、この日本代表選手は圧倒されたと言っても過言ではないだろう。チームメイトと波長が違うように見え、調子が上がらず、自信を失って日本代表の座を失っていた。彼の復活は目を見張るものがある。今季ここまで5ゴールと昨シーズンのゴール数を軽々と上回り、4アシストをマークして昨シーズンの総得点に並んだ」
「ピッチでの身のこなしや態度も一変した。彼のプレーには柔和さがある。物事が思い通りに進まない時、しばしばそうであったように、反抗することはなかった。彼は今、日本代表で再びその地位を確立し、キャリアに再び火をつけた。モナコの忍耐と楽観が実を結んだ」
一方、鎌田については今年11月にラツィオでチームメイトのMFダニーロ・カタルディがイタリアメディア『Radiosei』のインタビューで「鎌田は文化的に別の世界の人。彼がロッカールームにいるのは変わった感じだし、ほとんど氷の男っていう感じだ」とコメント。
ラツィオで結果を残していない中、日本代表OBの小野伸二氏は今月下旬にDAZN制作番組『フットボール・タイム』にて「本人はフランクフルトであれだけ実績を残して、自信を持ってラツィオに行っているわけですけど、その国の文化もあると思うので」と前置きした上で、「元々いる選手は、いる選手をすごく大事にするのがチームなので、後から来ると、ちょっとよそ者みたいになると思うので。それをどうやって上手くコミュニケーションを取りながら、人間として付き合っていく(かが大事ですね)」とアドバイスを送っている。
所属クラブのチームメイトに対する振る舞い、現地の文化や環境への適用という点で、鎌田と南野が対照的な状況にあると考えられる。