環境を保全するだけでなく、元の状態よりもさらに再生させる──革新的な建築コンセプト「リジェネラティブ建築」が世界から注目されている。
デザインオフィス「tono(トノ)」が設計した「Sumu Yakushima(スム ヤクシマ)」が8つの最高賞を含む国内外15のアワードを受賞。各国のメディアに取り上げられている。
屋久島の実験的宿泊施設「Sumu Yakushima」
手つかずの自然が残された屋久島。年間を通じて雨が多く、約2000mの高い山と樹齢1000年を超える杉の森で知られる島だ。
Sumu Yakushimaは「住めば住むほど自然が澄んでいく」をコンセプトにした実験的宿泊施設。
建築自体が環境を再生させる装置として設計されているだけでなく、日々の生活を通して環境と関わり、自然にも人にも優しい豊かなライフスタイルを体験できる場として創設された。
日本の伝統的な土木技術から学びながらも、太陽光発電と蓄電池によるオフグリッドシステムや高気密・高断熱工法など現代のテクノロジーも組み合わせたことで、デザイン性と快適性も確保。
山の景色を眺められるベッドのほか、広々としたキッチン、リビング、ダイニングルームを備え、友人同士で食事の用意をしたり、地元の新鮮な食材を使ったケータリングパーティーも可能。
現在は完全紹介制で宿泊を受け入れるが、一般公開型のプログラム付きツアーも定期的に開催する。2024年はインバウンドツアー受け入れも予定する。
8つの最高賞を含む国内外15のアワードを受賞
Sumu Yakushimaは、世界三大デザイン賞のiF Design Award 2023のGold Award(最高賞)、DFA Design for AsiaのGrand Award(最高賞)、日本空間デザイン賞の最優秀賞であるKUKAN of the year 2023を含む国内外15のアワードを受賞。
中でもArchitizer主催のA+Awardsで今年から新設されたサスティナブルプライベートハウス部門でのJury Award(部門最高賞)初受賞は、世界的な建築家Norman Foster氏やZaha Hadid社、Gensler社などの顔ぶれに並ぶ快挙だ。
SDGsやCO2削減に対する新しい視点が求められる現代において、建築分野での一つの具体的な解決策を提示したことで、世界20カ国、70を超えるメディア記事にも取り上げられ話題を集めた。
「サスティナブル(持続可能性)」の先を行く「リジェネラティブ」という概念。この概念が世界全体に広がることで地球環境が加速度的に回復していくことが期待されるという。
ゲストの受け入れについては今後もSumu Yakushima公式ウェブサイトにて告知される。希少な機会だが、ぜひ体験してみたい。
(SAYA)