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ハイソカーブームの最先端を走った、初代クレスタ
兄弟車のモデルチェンジに先駆けた「新型」
ハイソカーブームの最先端を走った、初代クレスタ
現在はすっかり乗用車の主力から滑り落ちた4ドアサルーンですが、かつてはその所有がステイタスシンボル、成功の証という時代がありました。
その頂点と言える時代は、1980年代に入ってから1991年バブル崩壊までの「ハイソカー」と呼ばれるラグジュアリー性とスポーティーさを兼ね備えた4ドアハードトップ全盛期ですが、1980年のデビュー当時、時代の最先端を走って輝いていたのが初代クレスタです。
古の高級セダンとしての憧れ、そして「昭和のセダンでもっともモダンなVIPカー」として愛された初代クレスタは、MOBY編集部がAIに聞いた、「30~50代のクルマ好きが気になる名車」にも、兄弟車を差し置きノミネートされています。
今回は、当時まだ幼児もいいところだった筆者の思い出も交えつつ、初代クレスタを振り返ってみましょう。
兄弟車のモデルチェンジに先駆けた「新型」
1980年4月、半年後にX60系4代目マークII/2代目チェイサーとして登場する兄弟車のモデルチェンジに先駆け、一台の新型車がトヨタからデビューします。
同時開店となったトヨタの新販売チャネル、「トヨタビスタ店」のフラッグシップモデルとしてお披露目された新型車は「クレスタ」と名付けられ、ややホイールベースが短いなど後の兄弟車とは若干異なる面があったため、型式も「X50系」となっていたのが特徴。
丸目2灯ヘッドライトで英国風アメ車?的な兄弟車の先代モデルと比べ、1980年代のクルマにふさわしくフラッシュサーフェス化された平滑なデザインと、それによく似合うツートンカラー、重厚感すら感じさせるテールデザインは、まさに「新時代のサルーン」でした。
ボディタイプは4ドアピラードハードトップのみで、モデルチェンジ後も4ドアハードトップのほか、保守的な4ドアセダンも設定した兄弟車とはコンセプトが異なり、スポーティな高級ラグジュアリーサルーンとしてのデビューです。
シュワーン!といかにも滑らかさを感じさせる音を立て加速する2リッター直6の1G-EU型エンジン、デジタルメーターなどを先取りして搭載したクレスタは、デビュー当時間違いなく時代の最先端にあり、その後のハイソカーブームを牽引する存在でした。
2代目以降はむしろ保守的な4ドアセダンとなり、最後の5代目では3兄弟の中でもっとも保守的でラグジュアリー性に振ったサルーンとなるなど、やや迷走した感はあったものの、初代のイメージで「クレスタ」の名に特別な想いを感じるユーザーは多かったことでしょう。