熱心な鉄道ファンはもちろん昭和の高度成長期に少年時代を過ごした乗り物好きであれば、一度は耳にしたことがあるであろうイタリアの列車“セッテベロ”。同列車は、先頭車両に展望席を設けたのが最大の特徴で、日本の小田急ロマンスカーなどがデザインの参考にしたとされる名車だ。近年、その増備車にあたるアルレッキーノが修復され、営業運転が再開されたことはファンの間で大きな注目を集めた。
さて、そんなイタリア国鉄だが、実はいまなおアナログ式の鉄道時計を公式に採用している世界でも希有な鉄道会社だ。そして同社が公式鉄道時計として採用するのがイタリアの時計ブランド“ペルセオ”である。
ペルセオが鉄道時計を供給し始めたのは1927年というから、何と1世紀近くも国鉄時計に採用され続けているのである。この事実からも、いかに信頼性の高い時計かがわかる。
今回取り上げている“グランド・セッテベロ”は、イタリア国鉄の黄金期である1950年代から80年代まで30年余りの間に活躍したETR300やETR250という高速列車を記念して60年代に製品化されたモデルで、現在まで途切れることなく、また発売当初のデザインから大きく変えることなく販売されている。
裏ブタにはETR300の車体がデザインされるなど、ファンにはたまらない仕様となっている。
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文◎堀内大輔(編集部)/写真◎水橋崇行