ケビン・マスカット 写真:Getty Images

 横浜F・マリノスの監督を2023シーズン限りで退任したケヴィン・マスカット氏は、今月中旬に中国1部・上海海港の指揮官に就任。2年半過ごした古巣に対する特別な思いや、横浜FM元監督のアンジェ・ポステコグルー氏(現トッテナム・ホットスパー)から掛けられた言葉を回想した。

 かつてベルギー1部シント=トロイデンVVを率いていたマスカット氏は、2021年7月からポステコグルーの後任として横浜FMを指揮。来日1年目からJ1リーグで2位と好成績を残すと、翌2022シーズンにはJ1制覇。2023シーズンも終盤までヴィッセル神戸と優勝争いを繰り広げるなど、確かな手腕を発揮していた。

 そんなマスカット氏は横浜FMでの監督キャリアに満足している模様。豪州メディア『キープ・アップ』のインタビューに応じた際、横浜FM監督就任当時の思い出を以下のように振り返っている。

 「面接プロセスを経て、マリノスの監督に就くチャンスがかなりあると思ったので、アンジェに相談したのを覚えている。相談した時、彼からは『おい、君はとても特別なフットボールクラブに入ろうとしているんだ』と言われたんだ」

 「彼は自分の言葉にこれ以上ないほど忠実だった。私がマリノスを離れた時に『なんと特別な場所だったんだ』と言うからだね」

 そしてマスカット氏は「マリノスでネガティブなことは何もなかった」と切り出すと、クラブのサポートに対する感謝の思いを述べている。

 「今シーズン、我々はどんな逆境にも負けず死ぬまで戦った。我々のサポーターとクラブは、今年直面した課題を認識しており、それを達成できたことはまさに驚異的だった」

 「私とクラブは、シーズン終盤まで契約延長の可能性について本当に前向きな話し合いをしていた。私が言えるのは、会長からスポーツディレクターに至るまで、(マリノスの幹部と)非常に友好的な関係にあったということだ。(J1リーグの順位が)2位、1位、2位というようにね。個人的には、クラブは妻や家族を歓迎してケアしてくれた。自分たちの仲間として受け入れてくれたんだ」

 「私は自分自身にこう思いながら歩いている。『私は次の監督のためにマリノスで指揮を執り続けていた』とね。マリノスは誰かが来て指揮を執るのを待っている特別なクラブだと、私は言い続けているんだ」

 ポステコグルーから受け取った助言そのままに、「横浜FMは特別なクラブである」と感じたマスカット氏。多くのファン・サポーターがこのオーストラリア人指導者の更なる成功を願っている。