町田ゼルビアの優勝で幕を閉じた2023明治安田生命J2リーグ。町田とジュビロ磐田が自動昇格で終え、壮絶なプレーオフの結果、東京ヴェルディが最後の昇格枠を勝ち取った。各クラブ来季に向けた移籍関連のニュースが注目される昨今。加入する選手と同等あるいはそれ以上に注目されるのが、流出に関する話題だ。
近年、下位カテゴリーから上位カテゴリーへの移籍、いわゆる「個人昇格」で成功する選手が増加している。今2023シーズン夏の移籍においても、大宮アルディージャからセレッソ大阪へ加入したMF柴山昌也や、藤枝MYFCから名古屋グランパスへ移籍したMF久保藤次郎など加入後に活躍を見せた選手が複数いる。Jリーグの盛り上がりに一役買っているのは間違いないが、下位カテゴリーのクラブからすればチームの中軸を引き抜かれるだけに、その影響度は計り知れない。
今冬もすでに、ジェフユナイテッド市原・千葉の6年ぶりとなるプレーオフ進出に貢献したMF見木友哉や、J3からの昇格組であったいわきFCの守備の要DF家泉怜依など複数の選手が来季J1を戦うクラブへ移籍することが報じられている。加えて、今季J2で唯一ACL(AFCチャンピオンズリーグ)を戦うヴァンフォーレ甲府の中心選手MF長谷川元希の獲得に動くクラブがあるとの噂が出るなど、個人昇格の話題はまだまだ続きそうだ。
ここでは、2023シーズンに活躍した選手で、今冬J1クラブへ移籍してしまいそうな4名を紹介していく。
イサカ・ゼイン(モンテディオ山形)
昨季から2年連続でプレーオフ進出を果たした2023シーズンのモンテディオ山形。そんな山形で、今季加入したばかりにも関わらず高い貢献度を示したのがMFイサカ・ゼインだ。驚異的な縦への推進力を武器に、右サイドから積極的な仕掛けとスピードで攻撃しJ2各クラブの守備陣にとって怖い存在であり続けた。数字の上でも、40試合出場6ゴール5アシストと確かな実績を残している。それだけに、J1でも活躍を見込める選手の1人であることは間違いない。
大きな得点源でもあったMFチアゴ・アウベスが契約満了ですでに去ってしまった山形。有能な若手選手が複数いるとは言え、攻撃の軸となったイサカまで手放しては来季J1昇格に向けて大きな懸念を抱えることになるだろう。昨冬もMF山田康太(柏レイソルへ移籍)やDF半田陸(ガンバ大阪へ移籍)ら主力選手を失っており同じ轍は踏みたくないところだが、イサカの活躍を見れば複数のクラブが獲得に乗り出したとしても不思議はない。