日本郵便が来年秋にも封書とはがきの郵便料金を3割超引き上げることが18日、公表された。郵便事業の赤字が背景にあるが、上昇率は過去40年に例のない大きさ。値上げしても2026年度以降は再び赤字が見込まれる。総務省は郵便制度の見直しは避けられないとして、本格的な検討に入る。

 日本郵便は、封書(定形、25グラム以下)の郵便料金を84円から110円に、はがきを63円から85円に引き上げる。郵便制度は、国民生活を広く下支えする役割を担っており、年賀状などの風習を含めて影響は大きい。

 国内の郵便物はデジタル化の進展で、ピーク時だった01年度の262億通から22年度の144億通へとほぼ半減した。損益面でも、費用全体の4分の3を占める人件費には賃上げ(23年度で5%超)の影響が重くのしかかる。

 日本郵便は「手紙文化の振興や機械化による業務効率化に取り組んできたが、構造上の問題に直面している」として、値上げに必要な省令改正を総務省に要望。同省も審議会に最小限の値上げ幅と説明した上で、家計に占める郵便料金の割合は0.1%で影響はわずかだと理解を求めた。

 しかし、審議会に出席した委員の1人は「国民的な感情からすると、やはり3割アップは大きい」と感想を漏らした。

 総務省が示した試算によると、今回の値上げで25年度の収支は2400億円余り改善して黒字化するものの、その後は赤字拡大の一途をたどる。このため、同省は再度の値上げを想定しつつ、安定して継続できる郵便事業の在り方を審議会などで議論したい考えだ。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2023/12/18-16:38)

提供元・Business Journal

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