世界三大珍味の1つである「トリュフ」は、これまで国内で栽培されておらず、高級食材として海外から輸入されてきました。
白トリュフよりも安価な黒トリュフであっても、高級食材であることには変わらず、度重なる不作によって価格が高騰しています。
ところが最近、森林研究・整備機構 森林総合研究所に所属する山中 高史氏ら研究チームは、国産の黒トリュフを人工的に発生させることに成功したと報告しています。
2022年11月の国産の白トリュフの人工的発生に続き、黒トリュフまでも人工的発生に成功したのです。
詳細は、2023年12月4日付の『森林総合研究所のプレスリリース』にて発表されました。
不作により価格が高騰している黒いダイヤ「黒トリュフ」
国内で流通するトリュフは、すべてヨーロッパや中国から輸入されており、近年、その額は増加しています。
この高級食材であるトリュフは、大まかに「白トリュフ」と「黒トリュフ」に分かれています。
これらの違いは単純に種類の違いであり、栽培されているいくつかの種が「白トリュフ」と呼ばれ、さらに別の数種が「黒トリュフ」と呼ばれているのです。

トリュフの魅力はその香りにありますが、白トリュフの方が黒トリュフよりも香りが強く、新鮮なものを生でパスタやオムレツなどにスライスして食べることが多いです。
一方、黒トリュフはどちらかというと加熱調理に向いており、スライスしてふりかける以外にも、ソースやオイルとして利用されます。
白トリュフは黒トリュフに比べて産地が限られており、生産量も少ないため、その希少性からより高価です。
とはいえ、黒トリュフであっても「黒いダイヤ」と呼ばれるほど希少であり、不作によって価格が急騰することがあります。

例えば、2012年、2017年には雨不足で黒トリュフが不作となり、「世界の美食家たちを泣かせた」と話題になりました。
また今年2023年も黒トリュフは不作であり、卸価格が大きく上昇しただけでなく、品質も高くありませんでした。
日本でもトリュフの需要は高まっており、2022年の輸入額は約20億円にものぼったと言われています。
こうした中で、国産のトリュフの栽培技術の確立は大いに望まれてきました。