日本ではほとんどの車が加入している自動車保険だが、アフリカ・ナイジェリアでは2割ほどしか保険に加入していないとも言われている。
複雑な加入手続きと、これまた面倒な請求プロセスのためにアフリカの人々に敬遠されている自動車保険。そんななか登場したのが、アフリカ・ナイジェリアのスタートアップ「ETAP」の自動車保険だ。
手続きを簡略化して手軽さを追求したETAPの自動車保険は2021年11月にベータ版が開始し、2022年に本格始動。以降この自動車保険は急速に普及しており、同社はナイジェリアだけでなくアフリカ大陸全土への展開を構想している。
“簡単で楽しい”自動車保険を目指すETAP
ETAPは、2021年に設立されたアフリカ・ナイジェリアの自動車保険スタートアップ。ETAPは「Easy as Take A Picture(写真を撮るくらい簡単)」の略で、保険の加入・更新・請求のどのプロセスにおいても簡潔さを追求している。
同社の自動車保険では、加入申請や保険の種類の選択、請求履歴の確認などをすべてアプリを通してすることができ、面倒な電話や書類手続きは不要。加入申請は90秒、保険金請求の処理は3分以内で完了するように設計されている。
このようなシンプルで迅速な請求処理を可能としているのは、AIによる働きが大きい。
交通事故が発生した場合、ユーザーは事故現場を撮影した写真をアプリ経由で送る。送られた写真をAIが分析し、請求の承認をスムーズに行えるようにするという。地理情報タグやタイムスタンプなどの機能で、不正請求へも対策。 また、簡潔さだけでなく「楽しさ」にも焦点が当てられているところがETAPの面白いところ。ETAPは速度やブレーキなどの情報から運転を分析し、安全運転であればポイントを付与するといった、運転体験をゲーム化する取り組みを実施している。この安全運転ポイントは、買い物券や映画のチケットなど、さまざまな特典と交換できる。
豊通関連の投資会社も期待を寄せる
ETAPは、プレシードラウンド(初期段階の資金調達段階)で150万ドルを調達している。
リードインベスターとなったのは、豊田通商が子会社のCFAOと共同で設立した投資会社Mobility 54。アフリカの自動車関連スタートアップ企業への出資に特化した投資会社だ。
アフリカでは急速な発展に伴いモビリティ関連のニーズが多様化している反面、インフラや関連サービスの提供に関して未発達な部分が多い。そのぶん伸びしろも大きいため、今後も要注目の業界として動向を追っていきたい。
参考元:
ETAP 公式サイト
ETAPの紹介
(文・竜胆総司)