日銀が13日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス12となり、前回9月調査のプラス9から3ポイント改善した。改善は3四半期連続。自動車生産の回復が幅広い業種に波及した。大企業非製造業も3ポイント改善してプラス30と、1991年11月以来、32年1カ月ぶりの高水準となった。コロナ禍からの経済活動の正常化が進み、7期連続で改善した。

 DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。調査期間は11月9日~12月12日。 

 大企業製造業は、半導体不足の緩和などで自動車の挽回生産が進んだほか、原材料高の一服や価格転嫁の進展も寄与。自動車はプラス28(前回プラス15)と6期連続で改善し、2014年3月以来の高水準となった。車の生産回復は、鉄鋼、非鉄金属、汎用(はんよう)機械など関連業種の景況感改善につながった。

 大企業非製造業は、インバウンド(訪日客)など人流の回復による需要拡大が寄与し、幅広い業種で改善。宿泊・飲食サービスはプラス51(前回プラス44)と、04年の調査開始以来、最高を更新した。対個人サービスはプラス28(同プラス24)に改善した。

 中小企業は、非製造業がプラス14と91年8月以来の高水準。製造業はプラス1と19年3月以来、4年9カ月ぶりにプラス圏に浮上した。

 人手不足感は全産業で強まった。非製造業の雇用人員判断DIは大企業でマイナス37と92年2月以来の強い不足感。中小企業もマイナス47と、83年5月の調査開始以来、最大のマイナス幅となった。

 先行きは、原材料価格の再高騰に加え、中国や米国など海外経済減速への懸念が出ている。大企業は製造業がプラス8、非製造業はプラス24への悪化を見込む。

 全規模全産業の23年度想定為替レートは1ドル=139円35銭で、前回9月調査時点(135円75銭)から円安方向に修正された。23年度の大企業全産業の設備投資計画は、前年度比13.5%増を見込む。

◇日銀短観のポイント
 一、大企業製造業DIはプラス12と3期連続の改善。先行きはプラス8
 一、大企業非製造業DIはプラス30と7期連続の改善。先行きはプラス24
 一、中小企業製造業DIはプラス1で2期ぶりの改善。先行きはマイナス1
 一、中小企業非製造業DIはプラス14で7期連続の改善。先行きはプラス7
 一、大企業の自動車DIはプラス28と、2014年3月以来の高水準
 一、大企業の宿泊・飲食サービスDIはプラス51と、過去最高
 一、大企業製造業の販売価格DIは6ポイント低下のプラス26
 一、大企業製造業の仕入れ価格DIは5ポイント低下のプラス43
 一、23年度の大企業全産業の設備投資計画は前年度比13.5%増
 一、全規模全産業の23年度想定為替レートは1ドル=139円35銭

◇12月日銀短観の主な指標
                9月 12月  3月予想
▽業況判断指数
(DI、「良い」―「悪い」)
大企業製造業           9  12     8
大企業非製造業         27  30    24
中小企業製造業        ▲ 5   1   ▲ 1
中小企業非製造業        12  14     7

▽販売価格判断指数
(DI、「上昇」―「下落」)
大企業製造業          32  26    20
大企業非製造業         27  26    28

▽仕入価格判断指数
(DI、「上昇」―「下落」)
大企業製造業          48  43    38
大企業非製造業         43  41    44

▽雇用人員判断指数
(DI、「過剰」―「不足」)
大企業製造業         ▲15 ▲16   ▲17
大企業非製造業        ▲36 ▲37   ▲38

▽23年度設備投資計画(土地含む、前年度比増減率%)
大企業製造業        20.0 17.9   ―
大企業非製造業       10.1 11.0   ―

▽全規模全産業の23年度想定為替レート(12月)
                 1ドル=139円35銭
(注)▲はマイナス、―は数値なし
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2023/12/13-12:32)

提供元・Business Journal

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