最後に日本の景気が明らかに上向いている点です。物価高についてはほぼ1年間コストプッシュ型インフレで悲観に暮れ、テレビからは「今月は〇品目の値上げが予定されています」と主婦層を抱き込むような報道ばかりでした。その間、企業は調整金やボーナスでパッチワークをしていましたが、1年経ち、企業が本格的に賃上げに踏み切ったこと、それも2-3%ではなく、20-30%も上げるリーディングカンパニーが出ていることは大変革なのです。

実はこの変革に私は大いに期待をしているのです。なぜならゾンビ企業が排除される絶好の機会となっているからです。チカラがある企業しか賃上げは出来ません。賃金格差が出ると従業員の流動化が始まります。北米に比べ流動性が低かったのは横並び体質があり、能力評価が劣後し、組織作りが基本だったからです。が、今の30代以下の人たちは転職を全くいとわないのです。この大変革の予兆こそ、アメリカの投資家たちがかぎ取った臭いであると考えています。

個人的期待としてはアメリカの投資家主導で企業数をとにかく減らしてほしいと思います。上場企業ベースで5年で3割減です。例えばバフェット氏が今回5大商社を十把一絡げならぬ「五把一絡げ」にしたわけですが、5大商社が国内の専門商社などをもう少し買収して業界再編し、商社の購買力の増強に努めたらどうでしょうか?

日本は枯れ行く国家なのか、と言えば「枯らすも育てるもマインド次第」だと思っています。今の日本は高度成長期に頑張ってきた方々の中小企業の事業継承に行き詰まりがあること、ゼロゼロ融資の返済が始まり倒産が急増しており、否が応でも変わらざるを得ないところまで押し込まれたのです。相撲で言う土俵際です。

日本人は以前から外資に弱いのです。国内では強そうなことを言うけれど典型的な内弁慶。外国人には上手に反論できません。今回は開国を迫る黒船と言うより黒船に大金を積んで怒涛の投資の機会をうかがっている、そんな風に見えます。日本がそれに対してやることは「踊る」のではありません。沈着冷静にハードネゴをして良きパートナーとして協業できる体制を作ることではないでしょうか?

日本にビジネスの春の兆しが見えそうです。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年4月12日の記事より転載させていただきました。