来年3月、長野県・湯田中温泉に、全5室の数寄屋造り、露天風呂付客室の宿「松籟荘(しょうらいそう)」がオープンする。

春の旅行に、歴史ある湯田中温泉に新しく生まれる露天風呂付客室ある宿で、ゆっくりと過ごしてみてはどうだろう。

再建を誓った「よろづや」の離れ「松籟荘」

長野県、湯田中温泉にある老舗旅館「よろづや」。

「よろづや」の離れとして存在していた「松籟荘(以後、旧松籟荘)」は、2021年2月に火災に見舞われた。この旧松籟荘は1939年に完成した木造の数寄屋造りで、2003年に国の登録有形文化財に指定され、湯田中温泉郷の地域のシンボルとして多くの人が親しんでいた。

火災の際には沢山の見舞いと励ましの言葉をもらい、長年同館を利用した客からも、松籟荘の再建を願う心温まるメッセージが寄せられた。

そうした声に応え、「長く愛される宿を作りたい」との想いを胸に再建を誓い、新たな松籟荘(以後、同館)のオープンに至った。

また、再建を進めるにあたりクラウドファンディングを実施し、330名からの協力を得た。集まった資金は建築費の一部として、大切に使用するという。

「また、ここで、心ゆくまで」

同館は場所を変え、全5室のスモールラグジュアリーの宿として生まれ変わる。

外観などの姿は以前と大きく変わるが、館内の所々に旧松籟荘の意匠を再現し、また一部の調度品は旧松籟荘で使用していた物と同じデザインで制作するなど、長年親しんでもらったゲストへ「おかえりなさい」の気持ちを念頭に、開業準備を進めてきたという。

全客室に天然温泉かけ流しの露天風呂と坪庭を設置

全客室には自家源泉である天然温泉かけ流しの露天風呂と、四季折々の景色を楽しむ事ができる坪庭を設け、自然と一体になる日本の建築美を意識した数寄屋建築に拘った。

現代日本において和室や和風建築の実現は非常に困難だ。質の良い材料の入手が難しく、技術者の高齢化とともに、技術の継承が困難な状況にあるためだ。

そんなロストテクノロジーになりつつある中で、新松籟荘は数少ない熟練技術者と本物の素材にこだわり、手仕事の美を追求した。

訪れる人々に日本建築の美しさや、普段は触れることの少ない日本の伝統に再び触れてほしいとの思いがある。

また、旧松籟荘を知らないゲストにも、「初めてなのに、どこか懐かしい」そんな体験を提供する宿を目指している。

同館の宿泊者は、隣接する「よろづや」の大浴場「桃山風呂」と「東雲風呂」が利用できる。

開業予定は2024年3月1日(金)、グランドオープンは、同年4月15日(月)の予定で、1泊2名利用時の1名料金は53,000円(税込)から。

老舗旅館の歴史と、新たに誕生したスモールラグジュアリーの宿を体感しよう。

松籟荘
所在地:長野県下高井郡山ノ内町平穏3071-1

(MOCA.O)

※掲載情報は、12月7日(木)現在のものであり、変更となる場合がある