米国税関・国境警備局(CBP)は2020年7月1日、中国・新疆ウイグル自治区から輸入されたかつらや付け毛などの毛髪製品13トン、計80万ドル(約8600万円)相当を押収した。これらの製品はイスラム教徒の少数民族ウイグル族らが強制収容されている施設や関連工場で作られたもので、製品に使われた髪の毛が収容者自身のものである可能性が高いとみられている。

 CBP貿易局長補佐官ブレンダ・スミス氏は、「これらの商品の製造によって非常に深刻な人権侵害が引き起こされています。米国と取引しようとしているすべての企業に対して、米国のサプライチェーンでは違法で非人道的な慣行は許されないという明確で直接的なメッセージを送るため、押収命令を発しました」と述べた。

 中国の人権侵害を非難する米国だが、米国もまた人権侵害の歴史の上に成り立っていることは忘れられがちである。このことを思い出させる動画が海外の動画ブログ「WorldstarHipHop」で公開されている。

 動画に映っているのは、ジョージア州の非常に裕福な家庭で保管されていた骨董品の椅子である。200年前に作られたこの椅子には、クッションの詰め物として綿だけでなく奴隷の髪の毛が使われていたのだ。撮影者のタイロン・フリーマン氏は、解体された椅子から出てきた髪の毛を映す。これほどの量を集めるのに、どれだけの奴隷がつらい思いをしたかは想像に難くない。ウイグル族の髪の毛からかつらなどを作っていた中国と何ら変わらない蛮行の証拠である。

 この動画は2016年9月にFacebookに投稿され、瞬く間に拡散されて話題となった。米国の奴隷制の過酷な実態は、「民間伝承」「都市伝説」などといわれて否定されることもあるが、髪の毛が詰まった椅子の発見は、それが決して虚構などではないことを無言で物語る。

 米国では2020年、ミネソタ州で黒人男性が白人警察官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに、根強く残っている人種差別の問題が浮き彫りになり、抗議デモが各地に拡大した。こうした混乱の背景にある奴隷制の歴史と真摯に向き合わない限り、同国における人種差別は決して解消しないだろう。
(文=標葉実則)

■200年前の椅子のクッションを開いたら大量の髪の毛が

参考:「Facebook」、「Associated Press News」、ほか

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提供元・TOCANA

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