中央公論新社が昨年11月に刊行した、磯田道史氏著の中公新書『日本史を暴く』は、出版取次のトーハン、日本出版販売(日販)の新書ノンフィクション、楽天ブックスの新書部門にて、それぞれ年間売上第1位を獲得した。
同書の部数は、現在累計27万5千部。中央公論新社では、今後もさらなる認知拡大を目指すという。
読みやすく分かりやすい内容が人気の『日本史を暴く』
アカデミックで、難解なテーマを取り扱うレーベルと見られがちな中公新書の中で、『日本史を暴く』は、61ものテーマを約3ページずつ取り扱い、まるでエッセイのように読める仕様だ。
テレビなどでもお馴染みの顔である、筆者の磯田道史氏の人気はもちろんだが、わかりやすく気軽に読めるという内容が、多くの読者を獲得することにつながったと出版元は分析する。
磯田氏は、1970年に岡山県に生まれた、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了の史学博士だ。現在、国際日本文化研究センター教授を務め、著書は『武士の家計簿』『天災から日本史を読みなおす』など多数。
では、同書の内容を簡単に紹介しよう。磯田氏は、歴史には「裏」があると考える。古文書を一つずつ解読すると、教科書に書かれた「表の歴史」では触れられない意外な事実が見えてくる。
例えば、明智光秀が織田信長を欺けた理由、信長の遺体の行方、江戸でカブトムシが不人気だった背景、忍者の悲惨な死に方、赤穂浪士が「吉良の首」で行った奇妙な儀式、漏洩していた孝明天皇の病床記録などなど。
ほこりを被った古文書と格闘し続ける著者だからこそ描けた、戦国・江戸・幕末の「歴史の裏側」が満載の一冊だ。
出版元では、『日本史を暴く』の年間売上第1位を受けて、新たな帯、書店店頭拡材のための販促物を書店店頭に設置してもらい、より多くの読者に訴求するという。
教科書などに記載される歴史の定説は、多くが勝者の側面から見たもので、ある意味、偏った歴史ともいえる。
そうした歴史には必ず裏があり、それを解き明かすことにより真の歴史が見えてくる。著名な学者である磯田氏が、古文書を紐解くなどして歴史の裏を知らしめてくれる『日本史を暴く』で、歴史の面白さを感じてみたい。
日本史を暴く
著者:磯田道史
判型:新書判
定価:924円(税込)
(高野晃彰)