ベトナム1部ハノイ公安FCは12月6日、同クラブに所属するGKフィリップ・グエン(31歳)がベトナム国籍を取得したと発表した。同選手はチェコとベトナムの混血で、以前から父の祖国ベトナムの代表チームでのプレーを熱望していた。
192cmの長身GKフィリップ・グエンは、チェコの名門スパルタ・プラハの下部組織出身で2013年にトップチーム昇格。ここでは出場機会に恵まれず、下部リーグで経験を積み、2018年からは同1部スロヴァン・リベレツで正GKとして活躍した。
その後に移籍した同1部スロヴァコでも不動の守護神として君臨し、2023シーズン途中に加入したハノイ公安FCでもすぐレギュラーの座を掴み、Vリーグ優勝に貢献。なお、2020年と2021年にはチェコ代表にも招集されているが、出場機会はなかった。
本人がベトナム代表入りを希望していることは誰もが知っていたが、チェコリーグでの実績があり、リーグでもトップクラブのGKと評価されていたため、チェコ代表を選んだ方がよいとの意見もあった。それでも、チェコでのキャリアを捨てて昨季Vリーグに挑戦。国籍取得手続きはかなり難航したが、ベトナムサッカー連盟(VFF)や所属クラブ、さらにはベトナム代表フィリップ・トルシエ監督のサポートもあって、12月初旬に晴れてベトナムの市民権を取得した。
これにより、グエンはベトナム代表に招集される権利を得たことになり、かねてからレベルの高いGKを求めていたトルシエ監督にとっても朗報となった。ベトナム代表では、同じく越僑(混血を含む在外ベトナム人)のロシア系GKダン・バン・ラム(元セレッソ大阪、30歳)が長く正GKを務めている。しかし最近の報道によると、トルシエ監督はダン・バン・ラムの足元の技術の拙さを指摘しており、より高いレベルのGKを探していた。
ベトナム代表は、2024年1月にカタールで開催されるAFCアジアカップで、日本、インドネシア、イラクと対戦する。グエンは、ベトナム代表の守備の切り札になると期待されており、森保一監督率いる日本代表にとっても厄介な敵になるかもしれない。