プリウスは3代目でポピュラーな存在になった!

 3代目プリウスの最も大きな進化は、高性能化と省燃費化を高次元で達成しながら、割安感のある価格設定をした点にある。さらに、もうひとつの大きな進化ポイントを挙げるなら、デザイン品質と外観品質の大幅な引き上げだろう。デザインの基本イメージは旧型から受け継いでいるが、機能と洗練の両面で、しっかり磨きがかかっている。

 キャビンは、広く明るい空間で「180㎝の乗員×4名」はOKというイメージだ。トランクスペースはゴルフバッグが3セット積めるし、トランク下のシークレットボックスにも十分な容量がある。

【ボクらの時代録】2009年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。トヨタ・プリウス( ZVW30型)が実現したハイブリッド新世界
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【ボクらの時代録】2009年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。トヨタ・プリウス( ZVW30型)が実現したハイブリッド新世界
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 動力性能は「2.4リッターのガソリン車並み」という話だが、乗ってみて十分納得した。基本的にバッテリー残量が一定以上あれば、モーターで静かにスムーズに発進する。スタート後、少しのタイムラグがあってエンジンが始動するが、始動を意識させられることはまずない。基本的に走り、止まるたびにエンジンは始動と停止を繰り返すわけだが、そのどちらもが「いつの間にか」といった感じだ。

 パフォーマンスは「必要にして十分」といったレベルを超えて、走りが楽しめる。とくに気持ちがいいのは追越である。市街地の追越も気持ちいいが、ハイウェイの追越はさらに気分が躍る。モーターの強力なトルクにアシストされているときの滑らかで力強い瞬発力には、ガソリン車とは別種の気持ちよさがある。身のこなしは素直で、足腰もかなりしっかり仕上がっている。燃費は当然、素晴らしい。試乗時、まったく普段どおり、流れに乗った状態で25.1km/リッターだった。
 プリウスは3代目で、ハイブリッドカーとして「本物の商品」になった!といえる。
(岡崎宏司/2009年8月10日号)

【ボクらの時代録】2009年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。トヨタ・プリウス( ZVW30型)が実現したハイブリッド新世界
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【ボクらの時代録】2009年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。トヨタ・プリウス( ZVW30型)が実現したハイブリッド新世界
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

3代目トヨタ・プリウス・プロフィール

 3代目プリウスは2009年1月の北米国際オートショー(デトロイト・ショー)でワールドデビュー。5月に日本で発売された。3代目は「スーパー・ハイブリッドカー」をキャチコピーに「世界最高の環境性能」と「走りの気持ちよさを追求」。メカニズムからスタイリングまで、すべてを進化させることで世界的なヒット作に成長する。日本では2009年に新車販売ランキング1位を獲得。翌2010年には31万台5669台の販売台数を記録した。

【ボクらの時代録】2009年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。トヨタ・プリウス( ZVW30型)が実現したハイブリッド新世界
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【ボクらの時代録】2009年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。トヨタ・プリウス( ZVW30型)が実現したハイブリッド新世界
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 カタログでは「プリウスの進化は、ハイブリッドカーの進歩そのものです」とアピール。「モーターとエンジンを最適な効率で組み合わせたトヨタ独自のストロングハイブリッドを搭載」と記載し、イラストと豊富な図版で特徴を説明した。ホンダ・インサイトなど、ハイブリッド車がしだいに増加する中で、その技術の違いを強調する手法は見事だった。具体的にはJC08モードで32.6km/リッターの低燃費、システム出力136psを誇る2.4リッター車並みのパワー、平成17年基準・75%低減レベルの低排出ガス、Cd値0.25の空力フォルムがアピールポイントだった。2012年には、より先進的なPHEVも設定し、エコカー世界標準のポジションを明確にする。

【ボクらの時代録】2009年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。トヨタ・プリウス( ZVW30型)が実現したハイブリッド新世界
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【ボクらの時代録】2009年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。トヨタ・プリウス( ZVW30型)が実現したハイブリッド新世界
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)