2代目はプラスαの魅力を身につけた
2代目のフィットは、上級クラスからの乗り換え層を惹きつける魅力を身につけた。旧型は「機能本位」という印象があった。新型は、機能にさらに磨きをかけたうえで、遊び心や趣味性にも意を注いだ。
モノフォルム風シルエットは、魅力的にまとまっている。モダンだし、街で見る姿にはサイズの枠を超えた存在感がある。インテリアの仕上がりも上々。ショルダールームは従来型比でプラス45mm。感覚的には、この数値を大きく超えるゆとりが感じられる。
メイン試乗車は1.3リッターだ。発進加速をよくするため、CVTにはトルコンを組み合わせている。エンジンレスポンス、アクセルレスポンスの良さにトルコンを加えた発進加速は、力強く、切れ味もいい。こうしたフィールは、流れに乗って走る領域なら、ほぼ全域で味わえる。軽やかで気持ちのいい動力性能の持ち主である。


パワーステアリングは素直でスムーズ。キビキビした身のこなしを引き出してくれる。それも「ちょうどいいよい」レベルであり、余計な気遣いをさせない点がいい。
乗り心地はリア側から少し固めの感触が伝わってくると同時に、バネ下が少し弾むような感触がある。もう少し、ゆったりとしたストローク感としなやかさがほしいとは思うが、合格ラインは総合的に十分クリアしている。
上級版のパドルで操作するマニュアルモード付きCVTを組み込んだ1.5リッターのRSはさらに魅力的。パフォーマンスは一段と速く、アクセルを踏み込んだときの俊足ぶりは、かなりのレベルだ。新型は、いいカタチで進化している。ベストセラーカーにふさわしい、ユーザーの期待に応えるモデルチェンジだと思う。
(岡崎宏司/2007年12月26日号)


2代目ホンダ・フィットのプロフィール
2代目フィットは2007年10月デビュー。ホンダ車は一般的に初代から2代目に移行する折に、キープコンセプトのモデルチェンジをするケースが多いが、フィットも例外ではなかった。ただし、決して「守りの姿勢」ではなく、初代の美点を徹底的に伸ばし、欠点を解消する「攻め」を貫いた点に価値があった。カタログでは「大きさやパワーばかりを求めることが進化じゃない」と語りかけ、「これからの人の暮らし、これからの地球環境に「フィット」するクルマ」に仕上げた点を強調する。


ラインアップは1.3リッターを主力に、スポーティ仕様の1.5リッター(RS)を設定。独創のセンタータンクレイアウトを生かしたスペースユーティリティは一段と発展し、燃費性能も向上。乗り心地や運転のしやすさも際立っていた。2010年10月には高効率設計のハイブリッドがデビュー。先進ユーザーも魅了する。