■クニオさんの実像

 まず、クニオさんは刀鍛冶である。しかも、遠く地方に呼ばれて講習に行ったりもされるそうなので、かなりその道では知られた職人さんなのだろう。

 江戸っ子で、地元の名士で、職人さん。

 趣味で落語もやっていたという軽快かつ甲高い江戸弁。

 これをベースに以下の文章を読んでいってほしい。

 そして、クニオさんの大量の性器ピアスは、元々ご自身の手作りによるものである。

 確かに、サイズといい、種類といい、見事なバリエーションであるのだが、それらは自作だったのだ。

 では、性器ピアスへの入り口はどうだったかといえば、お孫さんのピアス願望がきっかけだそうだ。

「中学生になった孫が“耳にピアス開けたい”って言うから、夫婦で付き添いでついていったのよ。そうしたらそこでお母ちゃんがはまっちゃってさ。性器ピアスっていうものがあるってことを知っちゃったから、後日に開けにいったのよ(笑)。で、そうしたら俺にも入れろって言うのよ。なんか、セックスしてる時にちょうどぶつかるところに入れるんだって。で、入れてみたら楽しいのよ(笑)。“カチャーン、カチャーン”って」

 それ以来、性器ピアスにハマってしまったクニオさんは、性器だけでも20個近く、乳首と臍周りを入れると40個ほどが入っているほどに。

「まあ付けたり取ったりしてるからいまは全部で40くらいかな。俺のチンコが30センチくらいあれば60個とかいくんだろうけどね(笑)」

 と、クニオさんは語っていた。

 次に、もう大方お気づきだろうが、クニオさんはエロい。

 現在SMイベントにはまっているのも、元はといえばエロ目的でストリップ劇場まわりを始めたことがきっかけだったという。

「昔はもう本当にセックスしたかったからさ、道で土下座してたもんね。“セックスさせてください”って(笑)」

 その後にストリップでの《本番生板ショー》の存在を知り、セックスマニアからストリップマニアへと変貌。

「ああいうのはさ、手を挙げて出ていった後に客同士がでじゃんけんで順番決めるんだけどさ、俺のは小せえから大きいヤツの後だとブカブカになるのよ(笑)。だから必死で交渉したよね、“俺先にしてくれよ、ほら、こんなんだからさ”って」

 生来の交渉能力はこんなところでも活きた。その後、2000年代に「ショーアップ大宮」というストリップ小屋で始まった「SM大会」に遭遇し、衝撃を受け、それ以来ストリップ劇場でのSM興行に日参するようになった。

 関東近県はもちろん、大阪等の関西圏も平気でカバーするフットワークの軽さで、何をしているかといえば、調教ショーの相手なのである。

 ストリップといえば、「女性が裸になるところ」というのが世間一般の認識だろうが、中には裸にならない女性も存在する。

 彼女たちは女王様としてステージに上がると、自らのパートナーを調教したり、観客の中から希望者を調教するのだ。

 その後者、いわゆる『観客調教』には、女王様の相手を勤めて回っているマニアたちが存在するのだが、クニオさんもそのひとりなのだ。ご贔屓の女王様が『観客調教』の相手を募っても、必ず名乗り出る気のいい素人客が全国にいるわけではない。

 そんな時、誰も上がらないのを見計らって、クニオさんは上がってゆくのだ。

「誰も上がんないからさ、困ったよ」

 そう言いながら自らのハゲ頭一面に真っ赤な蝋燭を垂らされた写メを見せてくれるクニオさん。

 マゾ役といえども、「ご贔屓の女王様に恥を欠かせないように」という、控えめなダンディズムを感じさせるエピソードである。

 現在は日本最古参の女王様こと夜羽エマ女王のステージを中心にフィールドワークを続けているため、彼女のステージを追えば高確率でクニオさんに遭遇できるだろう。

 ところで、これは私見なのだが、クニオさんは女王様に調教されているからといって、マゾヒストだとも言い切れない。

 長い付き合いの中で、クニオさんにはM特有の被虐的な、暗く後ろめたい願望はあまりないように思われるからだ。

 多すぎるピアスの数もその気配があるし、チューブ芸もそうであるのだが、どちらかといえば、《限界に挑戦》《まだ見たことのない景色が見たい》

 そういった願望の方が強そうである。

「日本一の老人」にインタビュー! 奇跡のサークル……
(画像=モドゥコン・ブックと日本で最も身体改造に詳しい第一人者・ケロッピー前田,『TOCANA』より 引用)

 以前も、身体改造愛好家たちのバイブルとも言える『モドゥコンブック』を見て、そこに掲載されていた「尿道を切開してそこからガスを流して勃起したペニスの先から火炎を放射する写真」に感銘を受け、どうしたらそれを再現できるのか数度にわたって相談を受けたこともあるし、また別の時には、「肛門から『工事現場用のライトが点滅するチューブ』を挿入してお腹を皮膚の下から点滅させたい」と、自身の夢を熱く語ってくれたこともある(後日「お腹の脂肪が厚かったためあまり光らなかった」と断念)。

 いつの時代もパイオニアは孤独なもの。なんでそうしたいのかはわからないが、クニオさんは、クニオさんだけの道を走っている途中なのだ。 

(文・写真=福田光睦/Modern Freaks Inc. 代表・Twitter@mitutika)

文=福田光睦

提供元・TOCANA

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