現在、アメリカ・シアトル近郊の刑務所には数学の天才が収監されています。

殺人犯であるクリストファー・ヘヴンズ氏が刑務所で数学を学ぶようになった結果、ある難問を解くまでになったのです。

彼の成果は学術誌に掲載されており、それ以来、刑務所の中で他の受刑者たちに数学を教えているとのこと。

今回は、まるで映画や小説にでも出てきそうな「数学を学んだ殺人犯」のエピソードをご紹介します。

目次
25年の刑期を過ごす殺人犯に転機が訪れる

25年の刑期を過ごす殺人犯に転機が訪れる

現在40歳のヘヴンズ氏は、まだ若いときに「道を踏み外した」そうです。

高校は中退し、仕事も見つかりません。薬物中毒になった彼には、最終的に殺人罪で25年の刑期が言い渡されることになります。

数学の超難問を収監中の殺人犯が解いてしまった話
(画像=殺人犯として収監されたクリストファー・ヘヴンズ氏 / Credit:Christopher Haven(Ancient Origins)_Imprisoned Murderer Solves Ancient Math Problem(2021)、『ナゾロジー』より 引用)

既に9年間を刑務所の中で過ごしてきましたが、現在彼は、「ある使命を抱いている」と述べています。

それが「数学に打ち込む」ことであり、道を外れた彼の人生を大きく変化させるものとなりました。

ヘヴンズ氏の数学の才能は、刑務所生活の中で徐々に明らかになったようです。

最初彼は、刑務所の中で高等数学の基礎を独学で学びました。

そして刑務官と取引し、他の受刑者たちに基本的な計算の仕方を教えることを条件に、より高度な数学の教科書を入手するようになります。

ところがしばらく経ったとき、彼は現状の数学レベルでは物足りなく感じてしまいました。

そのため出版社に手紙を送り、世界で最も権威ある数学誌の1つ『Annals of Mathematics』を数冊注文しました。

そしてこの手紙がきっかけとなり、ヘヴンズ氏は数学の難問に挑戦する機会を得ることになります。