目次
若者のおよそ半数にツノが!?
幼年期からの姿勢の悪さが原因

Point
■オーストラリアの研究により、若者の間で後頭部の骨にツノが成長し始めているという事実が判明
■ツノの突起は幅10〜30mmに及び、遺伝的でなく後天的な成長であることも明らかになっている
■原因は電子機器の過剰使用など、幼年期からの姿勢の悪さや筋肉量の低下が可能性として考えられる
オーストラリア・サンシャイン・コースト大学が行なった研究によると、若者の首の付け根に近い後頭部にツノのような骨の突起が成長し始めていることがわかった。
その原因は、どうやら遺伝的ではなく後天的なもののようだ。
研究を行なったデイヴィッド・シャハール、マーク・セイヤーズ両氏によると、幼年期からの筋肉量低下や姿勢の悪さが原因とのこと。
その原因の一つとして、スマホやパソコンといった電子機器の過剰使用が考えられるという。
若者のおよそ半数にツノが!?
ツノの存在が明らかになったのは、両氏が2016年に若者を対象として行なったレントゲン検査時だ。18歳〜30歳の男女218人の内、実に41%に後頭部の骨の突起が確認されたという。
その後2018年に13歳〜16歳を対象に行なった再調査では、ツノの成長が親からの遺伝ではなく、骨への負担による後天的な成長であることも明らかとなっている。
ツノのサイズは長さが約2〜3cm、幅は10〜30mmほどで、レントゲン写真からもしっかりと存在が確認できる。

ただし期待している皆様には悪いが、人類が別の何かに進化を遂げるオカルト的兆候というわけではない。
実はこうした骨の突起はお年寄りによく見られる現象で、長年の骨への負荷が蓄積した結果、時にコブのような突起ができるという。
しかしコブの成長には長い年月を要するため、若者に現れることはこれまでありえないとされていた。
シャハール氏はこの異常現象について「若者の間で幼年段階から筋骨格の退化プロセスが始まっていることを示す重要な事実だ」と指摘する。
その筋肉の衰えや骨への負担の一因として指摘されているのが、電子機器の過剰使用だ。

幼年期からの姿勢の悪さが原因
現代はスマホやゲーム、パソコン、iPadなど、子ども時代から電子機器に慣れ親しむような社会となっている。こうした電子機器の使用は学習効果などで活用できる反面、身体に対するネガティブな影響も伴っているのだ。
セイヤーズ氏は「1日の大半をスマホやゲームに費やすことで、首が下向きにうつむく時間が必然的に増加します。すると頭部の重みを支える比重が背骨から首や後頭部へと移動してしまうのです」と説明する。

要するに、前傾姿勢による後頭部の骨への負担が早い段階から蓄積することで、ツノのような突起が成長してしまうのだ。
一方で、電子機器による姿勢の悪さ以外にも可能性は考えられるという。
それが近年、子供たちの間で増加し続けている運動不足の問題だ。ハーバード・メディカルスクールは、運動不足による背筋や腰回りの筋肉の衰えが後頭部への負荷を増加させ、姿勢を悪くしていると主張する。
このまま子どもたちが成長すれば、未来の社会は下の画像のようになってしまうかも…?

健康だけでなく見た目的にもオシャレではないので、こんな世界だけは避けたいところ。というより単純に、通勤電車の中とかめちゃくちゃ危険。
【編集追記 2019. 6.25】
本研究については、「スマホ仕様との直接的関連を見出すにはデータ不足だ」とする説も出てきた。
ナゾロジーには「自分の後頭部にもある」という声も多く寄せられたが、「スマホのせいで退化した」と結論付けるのはまだ早いようだ。
reference: news, vice, metro / written by くらのすけ
提供元・ナゾロジー
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