今回は、昔からトレーニングをしっかりとしている人ならよくご存知のPOF法について解説していきたい。
文:Brittany Eterno, B.A., M.S.c.N, C.N. 翻訳:ゴンズプロダクション
POF法とは?
POF法はトレーニングテクニックのひとつで、ポジション・オブ・フレクションの略だ。直訳すると「屈曲の位置」ということで、つまりは「筋肉がもっとも力を出す地点」のことだ。
筋肉の力が一番出る位置で大きな負荷がかかるようにすると、筋線維はより強い刺激を受けて傷つく。この傷は、ワークアウト後の休養と栄養によって修復されるのだが、その過程を簡単に解説すると以下のとおりだ。
まずは、トレーニングで傷ついた箇所に白血球が集結する。白血球の働きによって傷の炎症が緩和される。頃合いを見計らって、今度はサイトカインが傷口に集結する。サイトカインが集まると、それまで眠っていたサテライト細胞が作動し、傷の修復活動が始まる。傷が大きければ大きいほど、この一連の活動は繰り返され、結果的に傷ついた筋線維は以前よりも太さと強さを増して復活するのだ。
ご存知のとおり、筋肉は無数の筋線維が束ねられた状態だ。つまり、筋線維の1本1本が肥大すれば筋肉は確実に太さを増すことになる。だからトレーニーたちは、高強度のトレーニングで確実に筋線維を傷つけたいと考えているのだ。
POF法は、筋肉が最大出力する地点で、できるだけ大きな負荷をかけることで、効率よく、大きな傷をつけるために考えられたトレーニング法だ。
筋肉の屈曲地点には、具体的にどのようなものがあるのか。POF法によると、筋肉には3つの地点があり、それぞれコントラクトポジション、ストレッチポジション、ミッドレンジポジションと呼ばれている。
コントラクトポジション
種目の可動域の中で、対象筋が最大収縮する地点。最大収縮しているときに最大負荷がかかるような種目を選択すれば、対象筋は効率よく強いダメージを受けることができる。
ストレッチポジション
可動域の中で対象筋が最大伸展する地点。最大伸展しているときに最大負荷がかかるような種目を選択すると、対象筋はこれ以上筋肉が伸ばされないように、すぐに収縮しようと働く。これは生理的に備わっている反射反応で、この反応が起きると筋肉はより強く、より早く収縮しようとする。そして、より強い収縮は筋発達に貢献するのである。
ミッドレンジポジション
可動域の中間地点、つまり最大収縮と最大伸展の中間地点のこと。中間地点で最大負荷をかけるには複数の筋肉が運動に関与していなければならない。つまり、多関節種目を選択することで、動作の中間地点で対象筋に最大負荷をかけることができ、それに抵抗するために、対象筋は最大出力をしようとする。
各ポジションに最適な種目
POF法の理屈が漠然と理解できたところで、このトレーニング法を提唱したアイアンマンマガジンの元編集長、スティーブ・ホルマン氏が分類したポジション別種目例を見ていくことにしよう。
ミッドレンジ種目
●スティッフレッグド・デッドリフト(ハムストリング)
●ワイドグリップ・チンニング(広背筋)
●スクワット(大腿四頭筋)
●ビハインドネック・プルダウン(中背部)
●ダンベルプレス(三角筋)
●ベンチプレス(大胸筋)
●バーベルカール、またはクロースグリップ・アンダーグリッププル ダウン(上腕二頭筋)
●ライイングエクステンションまたはクローズグリップ・ベンチプレス(上腕三頭筋)
●ニーアップ(腹筋)
ストレッチ種目
●シシースクワット(大腿四頭筋)
●スティッフレッグド・デッドリフト(ハムストリング)
●ドンキーカーフレイズ(カーフ)
●下背部に背もたれを当てた姿勢でのケーブルクランチ(腹筋)
●ダンベルフライ(大胸筋)
●プルオーバー(広背筋)
●クローズグリップ・ケーブルロウイング(中背部)
●インクライン・ワンハンドサイドレイズ(三角筋)
●インクラインカール(上腕二頭筋)
●オーバーヘッドエクステンション(上腕三頭筋)
コントラクト種目
●レッグエクステンション(大腿四頭筋)
●レッグカール(ハムストリング)
●スタンディングカーフレイズ(カーフ)
●フルレンジクランチ(腹筋)
●ケーブルクロスオーバー、またはペックデッキフライ(大胸筋)
●スティッフアーム・プルダウン、またはプルオーバーマシン(広背筋)
●ベントアーム・ベントオーバーロウイング(中背部)
●サイドレイズ(三角筋)
●コンセントレーションカール、またはダブルバイセップス・ケーブルカール(上腕二頭筋)
●ワンハンド・プッシュダウン、またはキックバック(上腕三頭筋)
まとめ
それぞれのポジションに最適な種目を見てみると、漠然としていたPOF法が、少し鮮明に見えてくるだろう。 例えば胸の種目のベンチプレスは、可動域の中間地点で最も大きな負荷がかかるので、完全収縮や完全伸展が行われる地点を意識するより、中間地点をしっかり意識したほうが有効ということなのだ。
一方、ダンベルフライは大胸筋を完全伸展させたときに最大負荷がかかるので、両腕を広げて大胸筋をストレッチさせるときは、しっかりストレッチを感じ取るようにするとなお効果的である。そして、ケーブルフライやペックデッキフライは、大胸筋を収縮させたときに最大負荷がかかるので、収縮ポジションでは特に意識して大胸筋を絞って収縮させよう。
このように、特定の部位にどの種目を選択するかはとても重要なことなのだ。種目の特性を理解していれば、POF法を活用してわずか3種目だけで対象筋を完全に追い込み、疲労させることができる。また、POF法で3種目を選択したら、ミッドレンジ種目→ストレッチ種目→コントラクト種目の順番で行うといい。なぜなら、ミッドレンジ種目は多関節種目であるため、できるだけエネルギーが有り余っている状態で行いたい。
ストレッチ種目では伸展反応(反射反応)によって、伸展された筋肉がすぐにギュッと強く収縮しようとするので、コントラクト種目の前にやっておきたいからだ。このように、対象筋に最適な種目を選択し、正しい順番で行うことで、より効率よく筋発達を実現させるワークアウトを組むことができるのである。
提供元・FITNESS LOVE
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