疑似的ワームホールから本物のワームホールで予測される特性が観測された
これまでの理論研究により、量子情報がワームホールを通過する場合にはワームホールが「負の反発エネルギー」によって開かれていなければならないことが示されています。
そこで研究では理論を検証するため、疑似的なワームホールに対して負の反発エネルギーと正の反発エネルギーが供給を行い、情報の行方が調べられました。
結果、負の反発エネルギーを供給した場合のみ、量子情報が疑似的ワームホール内部を通過し、正の反発エネルギーを供給した場合には、情報は「特異点」に落下して通過できないことが判明します。
また他にも本物のワームホールで起こると理論的に予想されている、重力によって情報が歪んでしまう現象(シャピロ遅延)、届けられる情報の時間的な順序がバラバラになってしまう現象などが、疑似的ワームホールでも予想と同じパターンで観測されました。
この結果は、疑似的ワームホールが本物のワームホールの挙動をかなり正確に反映していることを示します。
そのため研究者たちは、新たに開発された「疑似的ワームホールを搭載した量子プロセッサー」には、通過可能なワームホールの物理特性の主要なものが保持されており、実験室内でワームホールと量子の関係を調査するにあたり重要なプラットホームになると結論しています。
参考文献
Physicists observe wormhole dynamics using a quantum computer
元論文
Traversable wormhole dynamics on a quantum processor
提供元・ナゾロジー
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