こうした観点からすると、少なくとも今回の自民党議員の海外視察のアウトプット・見せ方は稚拙すぎました。

まず38名という人数は、海外視察を効果的に行うには疑問です。本気で相手と交流して視察の成果を出そうとするなら、議員の数はせいぜい3名から5名くらい。表敬訪問としても多くて10名くらいが限界でしょう。

現場の空気を知ることも大事とはいえ、マスプロ授業をやるならオンラインで十分で、国会見学などは個人で行ったときに行うべきです。

有名観光地の前で撮る集合写真や、「パリの街並みは美しい」といった観光客めいた発信はまったく必要ないどころか、有権者の気持ちを逆なでするだけでしょう。

ではここからは、海外視察が遊びだと思われないためにどうすればよいか?この視察の「炎上」状態をおさめるために何ができるか?という建設的な提案をします。

それは視察に行った38名全員が、それぞれ個人で上質なアウトプットをすることです。

行ったメンバー全員がそれぞれ違った視点で学びを深めるからこそ、大勢で視察に行くことが正当化されるはずです。こうした団体での視察は

「事務局がレポートをまとめて、議員はそれを引用発信して終わり!」

みたいなことが横行していますが、そんなことをしているから海外視察への風当たりは強くなる一方なのです。

こうしたご評価をいただいているように、手前味噌ながら私が海外に行ったときは徹底的にアウトプットを心がけ、視察の成果を見ていただいている方に還元できるように努めています。

自分なりの視点で何を学んだか、そしてこの発信を見ている人に何が伝えられるかを考えながら、海外でも毎日のブログ更新を欠かさず行い、帰国後はできるかぎり報告会を行って作成するチラシにも内容を反映させています。

そこまでやっても「遊んでいるんじゃない!」と言われるわけですから、海外視察のハードルは本当に高いですよね。でもそれくらいのことをキモに命じて議員たちは海外に行くべきなんでしょうね。

そんな私も8月には2回ほど、海外に行くことを予定しています(台湾、チェコ)。いずれも党費や私費が中心で、公費が入ったものではありませんが、皆さまにわかりやすく情報を伝えられるように努めてまいります。

それでは、また明日。

編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2023年7月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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