操ることの楽しさを教えてくれる

写真提供:キワミー卍さん

パンフレットに「ワインディングロードが、私たちの遊び場だ」とあるように、トライアルバイクのような細身の車体と、乾燥重量150㎏を割る軽量を活かし、旋回性に抜群の威力を発揮します。SRX-6はTT-F1クラス(排気量600cc以上)のレース出場も考慮し、排気量を608ccに設定。ハイパワーのバイクにコーナーリングで勝負を仕掛けるなど、SRXらしい特徴を活かして上位に食い込む快挙を果たしました。

万人向けにモデルチェンジ

大幅な改良が許されないSRのうっぷんを晴らすかのように、B.B.クィーンズがおどるポンポコリンをヒットさせていた1990年にモデルチェンジが行われます。リアサスペンションがツインサスからモノサスへ変更され、タイヤも18インチから17インチに変更。ホイールベースも約3㎝延長されました。

フロントブレーキは十分な効き目が検証されて、ダブルディスクからシングルディスクに変更されました。浮いたお金(?)で、キャリパーが2ポットから4ポットへ変更されました。何と言っても嬉しいのは、セルスターターの採用です。これによって「乗り手を選ぶバイク」から「多くの人が楽しめるバイク」に変わりました。

写真提供:キワミー卍さん

「分かる奴だけ乗ればいい」というスタンスを貫いていたSRXでしたが、大方の予想を裏切ってスマッシュヒット。SRX-6が世界累計で19,000台、SRX-4も国内だけで30,000台も生産されました。当時の販売台数としては物足りないですが、代打としてはまずまずの成功と言えるでしょう。

SRを残すた めに自ら身を退く

写真提供:キワミー卍さん

SRを凌ぐ次世代のスタンダードとしてヤマハのラインナップに君臨し続けると思われましたが(誰も思ってないか!?)、SR人気は根強く生産終了のウワサが出るたびに人気を回復。「ヤマハに同じようなバイクは2つもいらんのだ!」と、SR人気に屈するのでした。思えばSRがなければSRXは存在しなかったはず。SRを残すためにひっそりと身を引いたSRXの健気さに胸がキュンとなりますね。