小径タイヤによる地を這うような車高の低さも迫力満点!

今回は、イタリア製マーキュリー No.26 ランチアD24の紹介です。

資料によるとこのミニカーは1960年から製造されたようです。また、マーキュリー製の中でも、1959年からNo.1 FIAT Nuova500よりスタートした新シリーズ以前の1950年からスタートした初期シリーズに属するミニカーで、新シリーズと旧シリーズとは時期的に一部併売されたようです。このミニカーは当時専門店が独自に一部輸入し、正規には輸入されなかったミニカーだったようです。

ピニンファリーナデザインの美しい曲線と雰囲気を表現した名作!「ランチアD24」【丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー・ワールド】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

モチーフとなった実車は、戦前からフィアット、アルファロメオ、ランチア、フェラーリ等イタリアの有名自動車メーカー間を移籍しながら歴史に残る高性能なレーシングカーやスポーツカーの名車を次々と生み出した有名なエンジニア、ビットリオ・ヤーノがランチアに移籍したときに開発したレーシングカーです。

ピニンファリーナデザインの美しい曲線と雰囲気を表現した名作!「ランチアD24」【丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー・ワールド】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

実車ランチアD24は、1953年のニュルブルクリンク1000kmレースでデビューし、同年大変過酷なレース、カレラ・パナメリカーナ・メキシコではファン・マヌエル・ファンジオのドライブで優勝し、しかも1、2、3フィニッシュを達成。翌年1954年のミッレミリアでは、アルベルト・アスカリのドライブで優勝、同年タルガフローリオ、ジロ・デ・シチリアではピエロ・タルッフイが優勝したという歴史的な高性能レーシングカーでした。

ピニンファリーナデザインの美しい曲線と雰囲気を表現した名作!「ランチアD24」【丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー・ワールド】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

尚、高性能な性能に負けず劣らずボディのデザインは、ピニンファリーナによる美しい曲面デザインで、フロントグリルと左右フェンダーが独立したトリマラン型(三胴)のデザインも特徴的です。また、実戦用に急遽設えたような各部のエアーダクトやリベット等が迫力的で、実戦での戦闘力がとても高そうなレーシングカーとして機能美にも感じられます。余談ですが、残存する実車のうち1台が現在トリノ自動車博物館に展示されているようです。

ピニンファリーナデザインの美しい曲線と雰囲気を表現した名作!「ランチアD24」【丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー・ワールド】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

今回ご紹介するマーキュリー製ランチアD24は、1950年代の素朴な作りのミニカーで、スプリングサスペンションも無い一体成型により、シャシーもダイキャスト製です。また、透明の塩ビやプラスティック等によるウィンドスクリーンも未だ再現されない作りで、唯一ダイキャスト製ステアリングホイールがピン止めにより回転が可能です。

デティールは荒削りながら実車の抑揚のあるピニンファリーナの美しい曲線の特徴及び雰囲気を端的に表現した名作だと思います。小径タイヤにより地を這うような車高の低さも更にミニカーの迫力を助長しています。今回紹介する個体は、通常黒いゴムタイヤが一般的ですが、グレーのタイヤを履いた極初期のバージョンです。またゼッケンサークルがまだ水転写のデカールで、経年変化によりだいぶ黄ばんでおり、しかも版ずれを起こした状態が逆に製造時の時代製を物語って微笑ましく思います。

私は、鮮やかなイタリアンレッドのボディにブルーのコックピット、黄ばんだゼッケン、メッキのダイキャスト製ホイールにグレーのゴムタイヤの色彩とのマッチングがとても気に入っています。最後に、オリジナルのボックスを失った状態で入手したこのミニカーのために、当時のマーキュリー製のボックスデザインを参考にして、稚拙ながら、このミニカーをデッサンしたイラストを描いて、この世に一つの私オリジナルのボックスを制作しました。オリジナルのボックスにはリアスタイルは描かれていないはずです。

ピニンファリーナデザインの美しい曲線と雰囲気を表現した名作!「ランチアD24」【丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー・ワールド】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

私は、自作オリジナルボックスと共にこのミニカーをコレクションケースに飾り鑑賞を楽しんでいます。価値はオリジナルのミント・ボックスコンディションには遠く及びませんが、私にとっては手が掛かった分更に愛着が湧き、私にとってはとても貴重なミニカーです。

文・丸餅博士(門内 文明)/提供元・CARSMEET WEB

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