東京書籍から、今年2月に発売された『世界アート鑑賞図鑑 改訂版』が好評につき、増刷が決定。11月に、待望の重版が完成した。

同書は、1冊で全てがわかる、完璧に設計された美術ガイド。紀元前から現代美術まで1,100点以上のカラー写真を掲載する。

美術の世界をグローバルに楽しめる鑑賞図鑑

『世界アート鑑賞図鑑 改訂版』のポイントは、作品の全体解説と細部を検証した部分図解説により、読者が作品の詳細な理解ができることだ。そんな同書のポイントを以下に紹介しよう。

各章の扉を見た瞬間に、その時代の美術思潮が把握できる年表。また、絵画だけでなく、彫刻・写真・現代美術・パフォーマンスまで、全てのアートジャンルを網羅すること。各ジャンルとも分かりやすく図版を多用し、学術的にも評価の高い詳細な解説を添える。

掲載するカラー図版は、1,100点を超える。美術館での主要展示作品はもとより、新聞・テレビ・小説の表紙などで、目に触れる世界的な芸術作品を年代順に紹介。鑑賞可能なアートのほとんどを網羅する。

さらに、1946年以降の戦後芸術について、全体の20%にあたる116頁を割いて解説するのも大きなポイントだ。

アフリカ・東アジア・ラテンアメリカ・インドなど各々の芸術も取り上げ、ポップアート・コンセプチュアルアート・パフォーマンスアート・ビデオアート・デジタルアートなどの最新概念も作品とともに紹介する。かのバンクシーも登場するのが嬉しい。

また、同書は、取り扱う作品が、地域・ジャンルともに比類がないほど広範なのも特徴だ。

時代は、四大文明・エーゲ文明・エジプト・ギリシャの古典期から、中世・ルネサンス・近代から現代まで。最新作品は、2016年のミックス・メディアにも及ぶ。

地域は、四大文明・エジプト・アフリカ・地中海世界・ヨーロッパ・西アジア・インド・東南アジア・中国・朝鮮半島・日本・北米・中南米・オセアニアまでほぼ全世界をカバーする。

そして、ジャンルの広範囲さは驚きだ。先史時代から古代世界の美術全般。ルネサンス・バロック・ロココ・新古典主義・ロマン主義・写実主義・印象派・後期印象派・象徴主義・アールヌーボー・フォーヴィスム・キュビスム・シュルレアリスムなど、ヨーロッパの美術を中心とする世界の芸術。

写真・オプアート・ポップアート・コンセプチュアルアート・インスタレーション・ミニマリズム・ハイパーリアリズム・ビデオアート・デジタルアート現代芸術全般までだ。

これらに日本・中国・アフリカ・メキシコなど各地域に根差した芸術を挿入して紹介する。西アフリカの仮面・オセアニアの神像彫刻・北米先住民のトーテムポールなどを、漏れなく掲載している点も興味深い。

21世紀の現在、花盛りと言われるアートの世界。『世界アート鑑賞図鑑 改訂版』の日本語版監修を行った樺山紘一氏は、本書をして単なるアート・ガイドブックとして便利なだけではなく、グローバル時代の快い刺激の発信源となったと述べる。本書を手元に置いて、美術の世界でグローバルな楽しみ方を開拓してみてはいかがだろう。

世界アート鑑賞図鑑 改訂版
編集主幹:スティーヴン・ファージング(Stephen Farthing)
序文:リチャード・コーク(Richard Cork)
日本語版監修:樺山紘一
定価:5,390円(税込)
版型:B5変型
頁数:576頁

(高野晃彰)