■ 「バイト詐欺」の内容

指定のLINEにコンタクトをとり友達申請をすると、すぐに承認されました。しかし、今度の名前は「H田Y美」(HやYは編集部で置き換えました)。DMでスカウトしてきた「いお○」名義とは異なります。

バイト詐欺に応募するとどうなる?釣られてみた結果
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

これも詐欺アカウントの流れではよくあるパターン。「SNSアカウントとLINEの名義が異なる」のは、ネットを通じて行われる詐欺の鉄板中の鉄板。

教科書に絶対のることはない「傾向と対策」ですが、人生のテスト(実際に詐欺に遭遇したとき)には役立つはずなので、不審を見抜くポイントとして覚えておくといいでしょう。

話を戻しますが、接触すぐにメッセージが届きました。

どうやら、「オンライン上の専用ツール(H田曰く「仕事プラットフォーム」)」で指定の作業を行うことによって、最大60万円の報酬が得られるようです。本当ならばこれはすごい。

そして以降、指定された「オンライン上の専用ツール」を使ってお仕事していくわけですが、この専用ツールのサイトを開こうとすると、セキュリティが立ち上がり「これはフィッシングサイトです」と警告。警告が立ち上がる時点でこのサイトは、詐欺師が用意した「偽サイト」の可能性がぐっと高まります。

バイト詐欺に応募するとどうなる?釣られてみた結果
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

では、次にセキュリティの向こう側をのぞいてみましょう。現れたのは世界で有名なアプリ広告プラットフォーム「AppLovin社」のロゴが入ったページ。有名アプリのアイコンもずらっと並んでいますが、どれも無断で使われているのでしょう。

バイト詐欺に応募するとどうなる?釣られてみた結果
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

念のためにAppLovin社の本物のドメインと比較しましたが、誘導された「オンライン上の専用ツール」のサイトのドメインとでは、似せてはいるものの別ものであることが分かります。

【本物と偽物】

▼AppLovin社の本物のドメイン
applovin.com

▼偽AppLovin社のドメイン(○は編集部で伏せました)
applovin-○○○.com

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なお、本件に関して本家「AppLovin」社から、「偽ウェブサイト」「偽バイト」についての注意喚起が行われています。

「無断で弊社名を騙った偽ウェブサイトが開設されていることが確認されました。偽ウェブサイトと弊社は一切関わりはございません」「オンラインでアルバイト募集を行うことはございません」とのこと。

バイト詐欺に応募するとどうなる?釣られてみた結果
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

■ 指定された作業を行っていく

公式からの注意喚起からも、今回の「AppLovin社」を名のる相手が偽者だということが分かりました。つまり指定された仕事は、偽AppLovin社のアルバイト。指定されたツールを用いて、各アプリへと何らかの支援を行わせるようです。

バイト詐欺に応募するとどうなる?釣られてみた結果
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

そもそも「AppLovin社」は、世界でも有名なアプリ広告プラットフォーム。モバイルアプリにプラットフォームを提供し、広告出稿、広告マネタイズの支援をしている企業。そんなメジャーな企業の仕事を行えるなんて、本当ならば夢のようです。しかも難関の書類選考や面接もなく、採用!?そんなウマイ話があ・る・わ・け・ない!

と、わかっちゃいるものの潜入を進めます。今回潜入した偽AppLovin社のアルバイトの、仕事内容の詳細は、「オンライン上の専用ツール」を用いて、次々と出てくる有名なアプリに対し、ひたすら「提出」という意味不明なボタンを押す作業。

この「提出」が何の意味があるのかよくわからないのですが、広告のクリックなどが間接的に行われる?ということなのでしょうか。

そうだとしたら、このツールはヤバいです。なぜならば、広告に対し直接ではなく、間接的にクリックを行い、不正に広告をクリックしていることになります。事実であれば大問題ですが、もちろんこれは詐欺サイト。

ちなみにH田に「闇バイトですか?」とか「ダウンロードを不正に釣り上げるのか?」と質問してもトンチンカンな回答がかえってきました。そもそもH田の日本語が変。はじめは流ちょうかとおもいきや、言い切りが多くどこか機械的。何らかの言語を、翻訳ツールを使って日本語に訳している可能性が考えられます。

バイト詐欺に応募するとどうなる?釣られてみた結果
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)