児童虐待被害者の伴走支援を行う一般社団法人Onaraが、「見えなかった子どもたち~虐待被害者の未来を知ってください~」と題したイベントを11月19日(日)に実施。
同団体が行ったという児童養護施設や里親などの社会的養護を受けられなかった児童虐待被害者たちを対象にアンケートを実施。集計したという統計データと意見書を牧島かれん衆議院議員へ託し、自民党「児童の養護と未来を考える議員連盟」に提出しました。
牧島かれん議員は、児童養護議連の事務局長をつとめた経歴のある国会議員です。
精神科の受診歴が高値
社会的養護からもれた児童虐待被害者683人を対象としたアンケート調査の結果によると、虐待の種類として最も多かったのは(複数回答あり)、「心理的虐待」の92.1%。続いて、「身体的虐待」が61.3%に上りました。
虐待を行った対象(複数回答可で質問)は母親(83.2%)と父親(68.1%)が特に多い結果となっています。
「精神科の受診歴あり」の回答は84.3%にのぼりました。日本全体の3.9%と比べると、非常に高い数値であることが分かります。
同団体によれば、この調査から子どもの頃に受けた虐待は、被害者が成長し、大人になってもその影響を大きく残すことが明らかになったといいます。
「社会的養護未経験児童虐待被害者の実態調査アンケート統計データ」は、こちらから
社会的養護の対象年齢が弾力化
牧島議員や山口有紗さん(小児精神科医)らをゲストに招いたイベントも開かれ、これまで見えなかったという被害を受けた子どもたちが抱える問題・その解決に立ちはだかる課題について、政治家・医師・支援者それぞれの立場からディスカッションを実施。
そのなかで、牧島議員は、社会的養護の対象年齢が弾力化(状況に即して柔軟な対応を取ること)される改正児童福祉法(2024年4月1日(月)施行)について、「ちゃんと動くようにしなければいけない。ただ、始まっても、制度が使い難い、アクセスし難いなどがあるかも知れないので、その時は、その意見を聞かせて欲しい」と話したそうです。