世界経済フォーラム(WEF)は12月9日、「モバイルの発展が、男女の所得格差を縮小に貢献する可能性」に期待を寄せているとの見解を示した。

男女間の格差が縮小されない限り、今以上の世界経済発展は望めないといわれている中、モバイルの普及によりケニアでは19万4000世帯が経済的貧困を克服したと推測されている。

マッキンゼー「女性の労働力が10年間で3283兆円を生みだす」

モバイルと所得格差の関連性は、ケニアの大人気モバイル送金スタートアップ、M-PESAが発表したレポートに基づくものだ。2007年の設立以来調査を続けていたM-PESAは、モバイルの普及がケニアの人々の経済を向上させていると指摘。

こうした生活向上に大きく貢献したのが女性である。以前は農業などから稼ぎだした現金で家計をまかなっていた女性が、モバイルアプリなどを利用して「お金の管理」がしやすい環境を手にいれた。自給農業の主要労働力が女性であることを考慮にいれると、これは大変なダイナミックの変化となる。調査結果からは女性ユーザーの方が、アプリを有効的に利用することに熱心であることも判明している。

またケニアのような銀行へのアクセスが確立されていない国・地域では、支払いのために何マイルもかけて銀行まで歩いていくといった光景が日常的だったが、モバイルアプリから決済が可能になった今、女性にとっては大変な時間の節約にもつながる。

家計の管理は軽視されがちだが、無駄な出費や浪費を抑えた計画的なお金の使い方が、長期的にどれほど大きな収穫をもたらすかは、様々な調査結果から立証されている。小さな努力の積み重ねが、ケニアの人々の生活水準引きあげに役立っているのだ。

しかしモバイルの普及だけでは、「新興国を含めた多くの国で女性の労働力が不当評価されている」という根本的な問題を解決するには至らない点を、WEFも認識している。モバイルはあくまで男女所得格差の解決を促進する手段のひとつであり、実質的な革命は各国の政府や企業の働きかけに依存するところが大きい。

マッキンゼー・グローバル・インスティテュートはこうした障害の排除に成功すれば、女性の労働力が10年間でGDPに28兆ドル(約3283兆8400億円)をもたらすと予測している。

文・ZUU online編集部

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